学級崩壊に打ち砕かれた自信②

かっては体当たりでぶつかると、反発も含め何かが返ってきた。
しかし、ここでは、相手にされない上に、生徒同士も仮面をかぶっているように本音を話さない。

人として認められない。全く歯が立たない。
自信を打ち砕かれた鹿嶋は、布団で泣き、トイレで泣いた。
「教師やめますか、人間やめますか」というところまで追い詰められた。

悩み抜いた鹿嶋は、一つの手を打った。
生徒たちに内緒で書いてもらった親からの手紙。
生まれてからどのように育て、見守ってきたのか、その思いに触れるのは、ほとんどの生徒が初めてだった。

生徒たちは照れながら読んできたが、次第にあふれてくる思いを抑えられなくなった。
互いに手紙を見せ合い、話しを始めた。
生徒同士のコミュニケーションが芽生えてきた。

鹿嶋はその後も、生徒同士を近づけるための授業をやり続ける。
生徒たちは仮面を少しづつ脱ぎ捨て、本音で話し合うようになった。
すると、自分勝手な行動が減り、授業も成り立つようになった。

「人と関われば、人は育つ」
鹿嶋は一つの信念を抱いた。

(プロフェッショナル仕事の流儀15 File No.44より)
2009.03.29:反田快舟:[仕事の流儀]

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