本当に、色んな罵声がありました。「ばか」だとか、「かまど消し」だとか。
かまど消しとは、津軽弁で、家を失くすということ。
「かまど消しとは口をきくな」などといわれて、世間の目はすごく冷たかったですね。
だから、できる限り人と会わないようにしました。
会わなければ会話もない、と思いましてね。
ただ、農家は朝が早いんですよ。
四時になると人に出会うので、三時半には畑に向かっていました。
友達も一人去り二人去り、というなかで、最後まで残ってくれた人が一人だけいたんです。
貯えが一円もなくなって、電気も止められえるというとき、知らないうちにお金を振り込んでくれたり、
様々な形で助けてくれました。
彼は「やめろ」とは一度もいいませんでした。
By木村秋則
(プロフェッショナル仕事の流儀13 File No.35より)
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