ターニングポイント・絶望の淵で見たドングリの木

高度経済成長の時代。木村さんは農薬と化学肥料に頼る大規模農業を目指した。
しかし、妻とともに、農薬による炎症に悩まされ始めた。

ある日、立ち寄った書店で、一冊の本に出合う。
農薬も肥料も一切使わない、自然農法の本だった。

木村さんは、この方法でりんごをつくろうと決めた。
二か月が経ったころ、りんご畑におびただしい害虫が発生した。
さらに、病気が追い打ちをかけ、秋にはすべての葉が落ちた。

一年経ち、二年経ち、さらに四年経っても、実はおろか花さえ咲かなかった。
りんごが採れなければ収入はない。

生活費を稼ぐために、キャバレーの呼び込みをやった。
雑草を食べ、食費も切り詰めた。

心の中で、二人の自分が葛藤していた。
「もう諦めろ」という自分と、「もう少しの辛抱だ」という自分。

(プロフェッショナル仕事の流儀13 File NO.35より)
2009.01.02:反田快舟:[仕事の流儀]

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