2003年、パリ世界陸上。
男子20メートル決勝のトラックに一人の日本人が立っていた。
日本短距離界のエース、末續慎吾。
見事なロケットスタートを切った末續は、スピードに乗り、世界一と呼ばれるコーナーワークで
並みいる強豪を押さえて三位に食い込み、銅メダルを勝ち取った。
その末續が、ゴールとともにまっさきに駆け寄った一人の男がいた。
陸上コーチ、高野進。
常識を破る走法で、末續を世界の舞台に引き上げた。
その指導法には、一人で世界に挑み続け、オリンピックの400メートルファイナリストに上り詰めた
孤高のアスリートの、経験と魂が込められている。
高野は、選手たちにこう語りかける。
「目指すゴールの向こうには、新しい自分が待っている」
選手たちに、世界中が感動するようなレースをさせたいという高野。
その視線の先に“世界”がある。
(プロフェッショナル仕事の流儀11 File N..33より)
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