気持ちだけでは、人は救えない

荒れ狂う海で人命の救助に当たるには、強靭な肉体と並はずれた精神力が必要だ。
そのために寺門たちは、日々過酷な訓練を繰り返す。

例えば10kgの重りをつけての立ち泳ぎや、水深35mの潜水訓練。
水深30m以上になるとボンベ内の窒素が血液に溶け出し正常な意識を保てなくなる。
いわゆる「窒素酔い」だ。

その中で、マスクをはずして作業を行う訓練を始める。
過酷な訓練は、自らの限界を徹底的に体に刻みこむことが目的だ。
自分の限界が不明確だとそれを飛び越してしまい、命を落としかねない。

あるいは、命を救えなかった時、「自分は限界まで力を尽くしたのか」と
自責の念にさいなまれ、心を病むこともある。
ギリギリのところまで自分たちを追い込むことで強い精神力を養うのだ。

(プロフェッショナル仕事の流儀11 File No.31より)
2008.11.04:反田快舟:[仕事の流儀]

この記事へのコメントはこちら

※このコメントを編集・削除するためのパスワードです。
※半角英数字4文字で入力して下さい。記号は使用できません。