アシスタントの英語教師として来日した日系カナダ人、マサキとの出会いが田尻の人生を変えた。
マサキは、型破りな授業の企画を次々と提案した。
外国人と一緒に料理を作る授業、そしてキャンプやバーベキュー。
田尻は、そんな遊びでどんな英語力が身につくかいぶかしんだ。
ある日、ジェスチャーゲームを行い、出題者がトイレにしゃがんでいる仕草をした。
その時、一人の生徒が手を挙げた。
英語が嫌いで、授業でほとんど発言したことのない生徒だった。
流暢な発音で、こういった。「Are you takinng a damp?」
教師である田尻も知らないスラング表現だった。
生徒たちは、マサキと毎日遊ぶうちに、いつの間にか生きた英語を身につけていた。
「楽しめば、勉強が勉強でなくなる」
これを機会に、田尻は授業の大改造にかかった。
生徒たちが苦手にしていた文法には、教材にアニメのキャラクターを使った。
なかなか声の出ない英会話の練習は、スピードを競うゲームに仕立てた。
子どもたちの歓声が響く魔法のような授業は、こうして生まれた。
(プロフェッショナル仕事の流儀9 File No.25より)
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