人生に「遅すぎる」はない

人間の脳に限らず、身体を人工的に表現するとこがいかに困難かは、心ある人は
皆知っている。
小栁さんは、そのようなロボットを研究することの難しさを知っているからこ
そ、その知的探求の奥深さに魅せられて努力を続けているのだろう。

普通の人ならば、「もう人生の行先は決まった」と思うような年齢で、学問の面
白さに目覚めた小栁さん。
それまで縁のなかった研究の世界に飛び込み、博士号を取る。
更には、大学で研究を続けながら後進をを育てる。

いまだに徹夜が大丈夫だという小柳さんには、生き生きとした現場の研究者魂が
息づいている。
「いまさら、私にはそんなエネルギーはないかもしれない」とためらうのが普通
だろう。
しかし、どんな専門に飛び込んでいく時も、年齢に遅すぎるということはない。

人間には、エネルギーは少々衰えても、それを補う大切な能力がある。
それは、人生経験からくる総合的な人間力である。
それはまた、何歳になっても学習することをやめない脳の性質に即した命題でも
ある。

By茂木健一郎

(プロフェッショナル仕事の流儀8 File No.22より)
2008.07.21:反田快舟:[仕事の流儀]

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