大局観とは何か

棋士・羽生善治が、対局中に考えていることは、「読み」と「大局観」だという。
読みというのは、例えば歩が一つ動いて、飛車が二つ動いてという具体的な手を
読んでいくこと。
一方、大局観は全体的な方向性を考え、見出すこと。

大局観というのは、多くの手を読み切るよりも、いかに手を捨てられるか。
将棋では一つの局面で80通りくらいの可能性があるが、プロ棋士が考えるのは
せいぜい二手か三手。
カメラのフォーカスを絞るように、70いくつもの手を最初に捨て去ってしまう。
それがある種の大局観で、年齢と経験を積み重ねることによって、その精度は上
がっていくという。

「僕の場合は、手を読むというよりも、局面を一枚の絵としてみる感じですね。
一枚の絵として成り立つか、流れに沿っているか、それまでの方針に合っているか、
自分が思い描いているゴールに向かっているか・・・・。」

そういったものにフィットしているかどうかを、感覚的に判断している。
その判断は、七割くらいはできているという。
残りの三割を、読みでカバーしてより正確な手を考えていくのである。

(プロフェッショナル仕事の流儀7 File No.20より)

2008.06.25:反田快舟:[仕事の流儀]

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