なぜ木を治しつづけるのか

どんなに診ても、何がしようと思っても、最終的には「木は治療を欲していない」という思いに行き着くんです。
病気になって朽ちていくのも「大自然の中の掟だよ」と言われているような気がします。

ただ、私のできることは、できる範囲でやってあげたいと思うんです。
樹木医になってすぐに、八十代のおばあさんから庭の赤松が枯れそうだからと頼まれました。
うかがうと「この木が死んだら私も死んじゃうの」と言う。
でも、松の治療をし、やがて新芽が出たとき、
おばあさんの顔が変わったんです。
すごくいい顔になった。
それを見て、もしかしたら私の仕事は木の医者ではなく、依頼者の心の支えに少しでもなってあげることなのかなと、うれしくなりました。

By塚本こなみ

(プロフェッショナル仕事の流儀6FileNo.16より)
2008.06.13:反田快舟:[仕事の流儀]

この記事へのコメントはこちら

※このコメントを編集・削除するためのパスワードです。
※半角英数字4文字で入力して下さい。記号は使用できません。