不可能と言われた大藤の移植

あの藤は「250畳の大藤」といわれていた大木です。
幹周りは4メートルあって、移植は不可能とされていました。
移植してくれる人を4年間探した末に、私に依頼が来たんですね。

それまで藤の木を触ったことはなかったんですよ。
それでも請けたのは、まず最初に木のエネルギーを感じたから。
あとはやり方を考えればいいと、安易に受けてしまったんです。

色々な文献を調べましたが、「移植できるのは直径60センチまで」と書かれて
いる。
なるほど、だから誰も請けなかったんですね。
この仕事がいかに大変かは、始めてすぐにわかりました。

結局、移植には2年という準備期間を要しました。
「こんな仕事を請けなければよかった」と何度思ったことか。
とにかく眠れないんです。布団に入ると頭の中に木のことがグワーッと出てきて。

そんな苦しい状況でしたが、「やっぱりできません」とはいえないんですよ。
なんとかなる。やってみなければわからない。ずっとそう思っていましたね。
私の技術や能力で動くのではなく、きっと木が動いてくれる。そう信じていました。

By塚本こなみ

(プロフェッショナル仕事の流儀6より)
2008.06.10:反田快舟:[仕事の流儀]

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