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気持ちをいかに切り替えるか

心臓手術は、最悪の場合、命を落とす結果になる。
めったにないといっても年に何度かは必ずあるんです。
手術がうまくいったときほど、自分や周りに怒りをぶつけたい気持ちになります。

けれども、起ってしまったことはしかたがない。大切なのはそこからどうやって抜け出すかです。
今目の前にいる死にそうな子をどうやって助けるか、そちらに意識を切り替えないといけない。
過去に起きたことをいくら悔やんでも先には進めないので、そこで終わりにする必要があるんです。

くよくよしてばかりいては進歩がない。その患者さんがどうして亡くなったのかという原因がわかれば、
同じことを繰り返さずに済む可能性があるわけです。
次に同じような患者さんが来たら絶対に助ける、とチーム全体で考えることが重要だと思います。
そうすれば、不幸にして亡くなる人が年間5人から4人へ、4人から3人へと減っていき、最後にはゼロになるかもしれない。
そうなるまでには、勉強することがいくらでもあります。
By佐野俊二

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)

人間は同じ過ちを繰り返す。これは性格から来ているという。
これを直すには行動を変えることというが、なかなか難しい。
まず、そうなりたいと強く思うこと、そして原因追究と勉強、これしかない。

2008.01.19:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

集中力をトレーニングする

手術は手でするものではなく、頭でするものなんです。
特に要求されるのは集中力。例えば、今から五分間、身動きせずに一点を見なさいといわれたら、多くの人ができるかもしれません。
でも、それを三十分、一時間となるとなかなかできないと思います。
それを可能にするためには、日々のトレーニングが必要になります。

集中するために、何がコツがあるわけではありません。
私の場合、手術の前はまず患者さんのデータを見て、会議で討議した内容をもう一度自分で思い出します。
そのときに、いろいろなことを考えているとなかなか集中できないので、コーヒーでも飲みながら一人で手術のシミュレーションをしていますね。
そして、手術用の服に着替えたり、眼鏡(拡大鏡)をかけたりするうちに、手術に向けて気持ちが入っていきます。
By佐野俊二


(プロフェッショナル仕事の流儀1より)


集中力をトレーニングするという意識はありませんでしたね。重要な仕事の前に瞑想したり、神棚に向かったりするとことはありますが、長時間集中力を持続するために自分流の訓練が必要なのだと分かりました。

2008.01.18:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

リーダーは何があっても冷静でなくてはならない

手術の重圧で自分を見失いそうになることは、いくらでもあります。
でも、リーダーがパニックに陥ると絶対にダメです。
リーダーさえしっかりしていれば、最悪の事態には陥りません。

難しい症例や、経験したことのない場面などに遭遇すると、すぐには判断できません。
しかし、時間は限られているので、例え迷ったとしてもどこかで決断をしなければなりません。

そのような事態を防ぐために有効なのは情報です。
手術の前に得られる情報が多いほど、
パニックにならないですね。
けれど現実には、100%の情報があるケースはないわけで、
そういう場面に出くわした時に、経験から得た知識を組み合わせたり、様々なシミュレーションをしたりして、いかにそれを克服するか。それが一流かそうでないかを分ける気がします。
By佐野俊二


(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
2008.01.17:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

究極の決断に必要なもの

人の命に直結する仕事である心臓外科医には、究極ともいえる決断が求められる。
そういう場で決断を下せる能力は訓練で身につくものなのか、それとも資質なのだろうか。

医学は科学なので、そこには理論があるわけですが、最後の最後のところでは、
やるかやらないかの二者択一なんです。

その決断は、ある意味では、その人の持つ感覚の領域に入ってくる。
トレーニングと経験を重ねることにより、そういった感覚は研ぎ澄まされてくるのだと思います。

ただ、集中することでパッと頭に浮かんでくる人がいる一方で、浮かんでこない人もいる。
そのあたりは、説明できないことがありますね。
教えられることと教えられないことが出てくるんです。
By佐野俊二

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)

2008.01.16:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

集中力が高まると見えてくる

子どもの小さな心臓の手術は誰でもすぐにできるものではありません。
だから、できるようになるためにトレーニングをするわけです。

まず第一に、どうやって集中力を高めるか。
集中すればするほど、普通の人には見えないものが見えてくる瞬間があるのですね。
切るのは一瞬。2ミリ切れば治る病気でも、0.1ミリずれると死に至る。
だから私は、何分かかっても、見える瞬間が来るまでは一切手を動かしません。

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)

技を極めた上に、更に集中する精神力で普通の人には見えないものが見えるのでしょう。
昔、野球の川上さんが、「調子のいいときはボールが止まって見えた」といいましたが、それと同じかもしれません。
最近ではイチローが似たようなことを言っていました。
心理の世界では、河合隼雄先生が、そんな心境を色んな場面で書いておられます。
いづれにしてもプロとはすごいものです。
今からでも、何十分の一かは近づけるでしょうか?
いや近づく努力をしなければプロとは言えないですね。
2008.01.15:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]