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あなたはなにができるの?

母親に女手一つで育てられた杉野さん。
母は、食べ物にかけるお金だけは惜しまない人だった。
中学二年生の誕生日、一流ホテルのケーキを買ってくれた。
濃厚なクリームの甘味。華麗なデコレーション。まるで夢の世界からの贈り物のように見えた。
この瞬間、杉野さんは菓子職人になりたいと思った。

高校卒業後、「ホテルオークラ」の菓子製造部門に就職。
一流ホテルで働くのが誇らしく、いつも友人に自慢した。
しかし、ある日、女友達が言った。

「あなたは 何ができるの?」

杉野さんは答えられなかった。見習いの一年間、アイスクリームを錬るだけ。
一人でケーキも作れなかった。

「悔しいんじゃなくて、恥ずかしかったですね。自分をもっと高めていくことをしなければダメだと思いました」

どうすれば自分を高めることができるか。目指したのは菓子の本場、フランスでの修行。
アルバイトでお金を貯め、25歳でフランスに飛んだ。

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)


2008.01.29:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

怒る

ぼくは、かなり大きい声を出して怒るんです。
それは、いい仕事をしたい、お客さんによい状態のものを出したいという一心からです。

お菓子に使う材料はすべて神様から与えられたものであって、
僕たちがちゃんと料理することで、それらはよい状態でお客さんの手元に届くわけです。
でも、自分たちが不注意なことをしたら、それはもう出せない。

陶芸家が、自分の作品が気に入らなくて割ったりしましよね。
あの気持ちがよくわかります。
ほんの少し、数秒違っただけでもベストな状態にはできないんです。
だから、常に気が抜けないんです。

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)

毎回、プロのことばに接し、プロの厳しさに打ちのめされます。精神性の違いというか、覚悟の違いですかね。ただそれだけに終われば評論家、実践しなければ価値がありません。
2008.01.28:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

細部にこそ神は宿る

杉野さんがこだわるのはチョコレートのつや。
少しでも冷まし過ぎると塊ができる。
熱いとつやは生まれない。最高の状態は一瞬。
チョコレートの粘り気だけで、かけるタイミングを判断する。

「この一瞬をのがすと商品にならない。綱渡りみたいですが、その中に本当のおいしさがあるんです」

杉野さんは、味に直接関わる仕事は絶対に人任せにしない。
この日は赤スグリのムース。
急に作業を止め、氷水に手を突っ込んだ。
絞るとき手の体温が少しでも伝わると、赤スグリの果汁がムースから溶け出てしまう。
細かなことを諦めるか諦めないか。
細部にこそ、神は宿る。

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
2008.01.27:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

人を幸せにする菓子

その男の菓子は、本場フランスで「ほかのどこにもない菓子」と呼ばれる。
パティシエ・杉野英実。15年前、日本人として初めて、世界の菓子職人の頂点に立った。

杉野が目指す菓子。それは、単においしいだけの菓子ではない。
「人を幸せにする菓子」。
その違いは何から生まれるのか。

この日、杉野が最もこだわったのは、ジャムの隠し味のショウガ。
「切り方が粗い。自分で食べてごらん。これだけの厚さで。 どう感じる?」
素材の微妙な厚みの差で、味のバランスが崩れる。

「ほんのちょっとしたことなんですけど、一番おいしいところがブレてしまうとゼロです」
「当り前のことが一番難しい」
杉野が一番大切にしている言葉である。

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)

当り前のことを、当り前にできるようになる。
その、当り前のことがわかっていないことが多い。
2008.01.26:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

プロフェッショナルとは

プロフェッショナルに必要なのは、自分の仕事に対する誇りと責任です。
先ず、誇りを持たなくてはいけない。誇りだけで責任がとれない人はダメです。
それをしようと思えば、やっぱり努力しないといけない。

本当の意味でのプロになるためには、自分の仕事に時間を割いて、
他のことを犠牲にする必要があると思うんです。
みんな、持っている時間は同じだから、そこまで集中しないと、その道のエキスパートにはなれない。
自分が才能がないと思うのなら、もっともっと時間をかけないと。

努力は、人のためではなく自分のためにするもの。
自分は努力していますよと言っている間はプロじゃないと思う。
何も言わなくても、見た人がすごいと思ってくれるのが本当のプロでしょう。
By佐野俊二

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)

自分が才能がないと思うなら、もっともっと時間をかけないと。
努力できることが才能である。

2008.01.25:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]