母親に女手一つで育てられた杉野さん。
母は、食べ物にかけるお金だけは惜しまない人だった。
中学二年生の誕生日、一流ホテルのケーキを買ってくれた。
濃厚なクリームの甘味。華麗なデコレーション。まるで夢の世界からの贈り物のように見えた。
この瞬間、杉野さんは菓子職人になりたいと思った。
高校卒業後、「ホテルオークラ」の菓子製造部門に就職。
一流ホテルで働くのが誇らしく、いつも友人に自慢した。
しかし、ある日、女友達が言った。
「あなたは 何ができるの?」
杉野さんは答えられなかった。見習いの一年間、アイスクリームを錬るだけ。
一人でケーキも作れなかった。
「悔しいんじゃなくて、恥ずかしかったですね。自分をもっと高めていくことをしなければダメだと思いました」
どうすれば自分を高めることができるか。目指したのは菓子の本場、フランスでの修行。
アルバイトでお金を貯め、25歳でフランスに飛んだ。
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
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怒る
ぼくは、かなり大きい声を出して怒るんです。
それは、いい仕事をしたい、お客さんによい状態のものを出したいという一心からです。
お菓子に使う材料はすべて神様から与えられたものであって、
僕たちがちゃんと料理することで、それらはよい状態でお客さんの手元に届くわけです。
でも、自分たちが不注意なことをしたら、それはもう出せない。
陶芸家が、自分の作品が気に入らなくて割ったりしましよね。
あの気持ちがよくわかります。
ほんの少し、数秒違っただけでもベストな状態にはできないんです。
だから、常に気が抜けないんです。
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
毎回、プロのことばに接し、プロの厳しさに打ちのめされます。精神性の違いというか、覚悟の違いですかね。ただそれだけに終われば評論家、実践しなければ価値がありません。
それは、いい仕事をしたい、お客さんによい状態のものを出したいという一心からです。
お菓子に使う材料はすべて神様から与えられたものであって、
僕たちがちゃんと料理することで、それらはよい状態でお客さんの手元に届くわけです。
でも、自分たちが不注意なことをしたら、それはもう出せない。
陶芸家が、自分の作品が気に入らなくて割ったりしましよね。
あの気持ちがよくわかります。
ほんの少し、数秒違っただけでもベストな状態にはできないんです。
だから、常に気が抜けないんです。
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
毎回、プロのことばに接し、プロの厳しさに打ちのめされます。精神性の違いというか、覚悟の違いですかね。ただそれだけに終われば評論家、実践しなければ価値がありません。
細部にこそ神は宿る
杉野さんがこだわるのはチョコレートのつや。
少しでも冷まし過ぎると塊ができる。
熱いとつやは生まれない。最高の状態は一瞬。
チョコレートの粘り気だけで、かけるタイミングを判断する。
「この一瞬をのがすと商品にならない。綱渡りみたいですが、その中に本当のおいしさがあるんです」
杉野さんは、味に直接関わる仕事は絶対に人任せにしない。
この日は赤スグリのムース。
急に作業を止め、氷水に手を突っ込んだ。
絞るとき手の体温が少しでも伝わると、赤スグリの果汁がムースから溶け出てしまう。
細かなことを諦めるか諦めないか。
細部にこそ、神は宿る。
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
少しでも冷まし過ぎると塊ができる。
熱いとつやは生まれない。最高の状態は一瞬。
チョコレートの粘り気だけで、かけるタイミングを判断する。
「この一瞬をのがすと商品にならない。綱渡りみたいですが、その中に本当のおいしさがあるんです」
杉野さんは、味に直接関わる仕事は絶対に人任せにしない。
この日は赤スグリのムース。
急に作業を止め、氷水に手を突っ込んだ。
絞るとき手の体温が少しでも伝わると、赤スグリの果汁がムースから溶け出てしまう。
細かなことを諦めるか諦めないか。
細部にこそ、神は宿る。
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
人を幸せにする菓子
その男の菓子は、本場フランスで「ほかのどこにもない菓子」と呼ばれる。
パティシエ・杉野英実。15年前、日本人として初めて、世界の菓子職人の頂点に立った。
杉野が目指す菓子。それは、単においしいだけの菓子ではない。
「人を幸せにする菓子」。
その違いは何から生まれるのか。
この日、杉野が最もこだわったのは、ジャムの隠し味のショウガ。
「切り方が粗い。自分で食べてごらん。これだけの厚さで。 どう感じる?」
素材の微妙な厚みの差で、味のバランスが崩れる。
「ほんのちょっとしたことなんですけど、一番おいしいところがブレてしまうとゼロです」
「当り前のことが一番難しい」
杉野が一番大切にしている言葉である。
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
当り前のことを、当り前にできるようになる。
その、当り前のことがわかっていないことが多い。
パティシエ・杉野英実。15年前、日本人として初めて、世界の菓子職人の頂点に立った。
杉野が目指す菓子。それは、単においしいだけの菓子ではない。
「人を幸せにする菓子」。
その違いは何から生まれるのか。
この日、杉野が最もこだわったのは、ジャムの隠し味のショウガ。
「切り方が粗い。自分で食べてごらん。これだけの厚さで。 どう感じる?」
素材の微妙な厚みの差で、味のバランスが崩れる。
「ほんのちょっとしたことなんですけど、一番おいしいところがブレてしまうとゼロです」
「当り前のことが一番難しい」
杉野が一番大切にしている言葉である。
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
当り前のことを、当り前にできるようになる。
その、当り前のことがわかっていないことが多い。
プロフェッショナルとは
プロフェッショナルに必要なのは、自分の仕事に対する誇りと責任です。
先ず、誇りを持たなくてはいけない。誇りだけで責任がとれない人はダメです。
それをしようと思えば、やっぱり努力しないといけない。
本当の意味でのプロになるためには、自分の仕事に時間を割いて、
他のことを犠牲にする必要があると思うんです。
みんな、持っている時間は同じだから、そこまで集中しないと、その道のエキスパートにはなれない。
自分が才能がないと思うのなら、もっともっと時間をかけないと。
努力は、人のためではなく自分のためにするもの。
自分は努力していますよと言っている間はプロじゃないと思う。
何も言わなくても、見た人がすごいと思ってくれるのが本当のプロでしょう。
By佐野俊二
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
自分が才能がないと思うなら、もっともっと時間をかけないと。
努力できることが才能である。
先ず、誇りを持たなくてはいけない。誇りだけで責任がとれない人はダメです。
それをしようと思えば、やっぱり努力しないといけない。
本当の意味でのプロになるためには、自分の仕事に時間を割いて、
他のことを犠牲にする必要があると思うんです。
みんな、持っている時間は同じだから、そこまで集中しないと、その道のエキスパートにはなれない。
自分が才能がないと思うのなら、もっともっと時間をかけないと。
努力は、人のためではなく自分のためにするもの。
自分は努力していますよと言っている間はプロじゃないと思う。
何も言わなくても、見た人がすごいと思ってくれるのが本当のプロでしょう。
By佐野俊二
(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
自分が才能がないと思うなら、もっともっと時間をかけないと。
努力できることが才能である。