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感性と論理の関係

アートディレクター佐藤可士和はいう。
センスや感性が問われる一方で、医師のように論理的な仕事が求められるのだと。

例えば、「これは面白い」と感じた時に、「どうして面白いと思うんだろう」ということを
相当突き詰めて考えます。
そうすると、いろいろとキーワードが出てきたり、自分の思考がひもとかれていくのですが、
それをうまく並べ替えて、「なるほど、こういうロジックで面白いと感じるのか」ということが整理できたら、
すごく論理的になる。

論理というのは、「なぜこうなんだ」という理由ですね。
こういう仕事をしていると、全部感覚に頼ってばかりだと、アベレージが保てない。
ですから、精度を上げ、必ずアベレージを保てるように、自分の思考を分析します。

(プロフェッショナル仕事の流儀2より)  

凡人には、論理的には考えられても、肝心のアイデアがなかなか出てきません。
でも、論理で面白さを整理するということはとても参考になります。
センスのある人が論理的であれば、鬼に金棒ですね。
2008.02.03:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

天職とは何か

僕はこの仕事を天職だと思っているんですね。
何かに導かれてここまで来たような気がしているんです。
91年の「クープ・デュ・モンド」(洋菓子の世界大会)でチャンピオンになったときも、
予選を勝ち抜いたわけではなくて、推薦してくださった方がいたから出場できた。
予選があったら、たぶん出られなかったでしょう。

見習いのときには、「お前は向いていない」と何回も言われました。
先輩に辞めろと言われたことも一度や二度ではありません。
でも、僕は中学生のときに感動を受けて以来、ずっとこの仕事をしたいと心に決めてきたわけですから、
絶対に続けようと思いました。
そうやって続けてきた結果が今の自分なのだ、という気がします。
By杉野英実

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
2008.02.02:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

努力できることが才能である

続けるために必要なのは、満足しないこと。
自分はすごいと思ってしまえば絶対にダメです。
コンクールに出るのもいいのですが、あれはその時さえよければ結果が出るもの。

しかし、お店では、毎日がお客さんとの真っ向勝負ですよね。
毎日毎日つくるお菓子に、自分のすべてを注ぎ込んでいかなければいけない。

ホテルオークラの修業時代、5人いた同期の中でも僕が一番出来が悪かった。
覚えが悪くて、何回やってもうまくできない。
でも、今になって思うんですよ。器用でなくてよかったんじゃないか、と。

不器用で、人一倍の努力をしなければやってこれなかった人間だから、
今、こうしていられるのかなと思うんですね。
By杉野英実

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
2008.02.01:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

同じなのに、違う?

パリの街でペルティエの店を見て、僕はその前に立ちすくんでしまいました。
なんてきれいなんだろう。

ところが、いざ働いてみると、ペルティエの店のレシピは、その前に修行した店のレシピと全く同じ。
しかし、分量は同じでも、ペルティエは全く違ったお菓子をつくるんです。表現の仕方も違えば、味も違う。

結局、レシピというのは音楽でいうと楽譜だと思うんです。
演奏するピアニストや指揮者の技量や感性によって、表現される音楽は違ってきますね。
お菓子もそれとまったく同じ。例えば技法をほんのわずか変えることでも、味は違ってきます。
By杉野英実

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
2008.01.31:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

なぜ当たり前のことが大切なのか

例えば、イチゴのタルト。ぼくの店では、イチゴをキイチゴの果汁でコーティングしていますが、
仮にそれを15個つくるだけの材料が足りず、12個分くらいしかないとしましょう。
その12個分で15個をつくってしまったら、それだけ完成度が低くなるわけです。

それが分かっていながら、オープンの時間が迫っているからと、そのまま出してしまえば、
お客さんは本当においしいお菓子を食べることができません。
僕はそういうことが許せないんです。

あらゆる職業にいえることだと思うんですが、職人が楽をしようと思うと、ろくな結果にならないんです。
当り前のことをきっちり守っていけば、そのお菓子の本当の味が出せるのに、
作り手が少し気を抜いただけで、本来の味と全く違ったものになってしまいます。

僕だってどうしようと思うことがあります。でも、そこで踏みとどまれるかどうかです。
当り前のことができたら、本当においしいものができるんです。
そして、自分で100点をつけられるお菓子ができた時は、鳥肌が立つくらいに感動するんですね。
その喜びのために、また続ける、という感じです。
By杉野英実

(プロフェッショナル仕事の流儀1より)
2008.01.30:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]