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相談者を責めない

多重債務の相談者の多くが、ひどい取り立てを受けていますから、家族から見放されていたり、
親戚から罵倒されたり、会社を解雇されたりと、よりどころがない人が多いのです。
そのような人は、何より励ましてあげなければならない。

それから、例えば相談者がヤミ金で100社借りている場合、最初は50社くらいについてしか話さない人も多い。
100社の借りているといったら、断られるのではないかという不安があるわけです。
「弁護士の所にいったら東京湾に埋めてやる」などと脅されている人もいます。

ですから、この弁護士に相談して本当に解決してくれるのだろうかと、値踏みをしている面もあるわけです。
多重債務の場合は、100社借りているうち99社解決しても、1社残っていたらあっという間に再び100社になるのです。
だから、信頼して全部について話してもらわなくては、本当の解決にならないわけです。

(プロフェッショナル仕事の流儀2より)

信頼関係とと最後の詰めを誤ると元の黙阿弥になる。
2008.02.19:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

社会にアピールすることがストレス解消

法律で闘うとはいえ、ヤミ金融業者や暴力団との交渉は怒りやストレスがたまらないのだろうか?

ストレスがたまった場合、昔は麻雀などで気晴らしをしていたのですが、やはり一番の気晴らしは、
サラ金の被害をなくす運動をすることです。
例えば被害者対策弁護団をつくったり、シンポジュームや集会を開いたり、キャラバンカーで全国をまわる活動を行う。

事務所で業者とやり合うだけだと、だんだん内にこもってしまいますが、同じような立場の弁護士や学者や被害者の方々と交流をする。
そして、それを社会的にいろいろアピールしていくことが、意外とストレス解消になっているのですね。
By宇都宮健児

(プロフェッショナル仕事の流儀2より)

内にこもるより、外で交流してアピールしていくことが気分転換になるというのはよくわかります。
2008.02.18:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

ヤミ金融に負けない交渉の極意

交渉をするときは、必ず法律をバックにしないとダメです。
基本的に、彼らは日陰の交渉だと強いのですが、オープンな手続きに弱い。
彼らにとっては、刑務所に入れられるのが一番怖いわけですね。

だから、弁護士は刑事告発をして、警察や検察庁を動かすことが重要なのです。
私たちは武器は持っていなくても、そういう強大な国の捜査機関を動かすことができる。
国民主権ですから、そういう権利を持っているわけです。

街頭宣伝カーをよこしたり、事務所に乗り込んでくる暴力団もいました。
でも、一番いいのは自然体でね。「もう法律上は支払う義務はありません」、
「もし、不服があれば、あなた方にも裁判を起こす権利はありますよ」という。
そうすると、彼らはそれ以上手を出せないんです。
これまでの経験からすれば、あまり恐れる必要はないし、むしろ彼らの方が極めて弱い連中なんです。

(プロフェッショナル仕事の流儀2より)

2008.02.17:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

ヤミ金被害者にとっての弁護士の立場

ヤミ金融の取り立てというのは、人間の尊厳を無視するような本当にとんでもないものです。
こういうひどい取り立てがされているのに、警察や行政もあまりとりあってもらえません。
彼らには、「借りたものは返すのが当然」という考えが一部にある。
本来なら、あの取り立て自体が恐喝罪や恐喝未遂になってもおかしくないんです。

今は法律で、「弁護士が間に入って通知を出したら直接本人に取り立てしてはいけない」ことになっています。
そのことを多くの人に知ってもらいたいし、弁護士がつくということは、本人にもヤミ金融と戦う下支えができるわけです。
だから、私が衝立。それが倒れてしまうと、被害者の方に取り立てが集中しますからね。
私はそこから逃げるわけにはいかない。そこで踏ん張れるかどうかが重要だと思います。

(プロフェッショナル仕事の流儀2より)

企業の倒産現場にも遭遇してきましたが、暴力団のそれは本当に恐ろしいものです。
それと対決しつづけてきた宇都宮さんの使命感と精神力には頭が下がります。

2008.02.15:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

儲けるなんて考えるな

多重債務の相談はお金にはならない。
ヤミ金融と一社交渉して、料金は二万円。
事務所の収支はトントンだが、それでいいと宇都宮はいう。

若い人たちは弁護士になって金儲けしようなんて思っているけど、
それなら経営者になればいい。
弁護士というものは弱者のために仕事するもんだと思いますけどね。

(プロフェッショナル仕事の流儀2より)

2008.02.14:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]