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中村好文のプロフェッショナル とは

あるタンゴダンサーが「どうしてあなたはタンゴを選んだのですか?」と聞かれて、
「ぼくがタンゴを選んだんじゃない、タンゴがぼくを選んだんです」と答えていました。

プロフェッショナルというのは、ある特定の職業を選んだ人じゃなくて、
ある特定の職業から選ばれた人なんだと思います。

ぼくは、まだその領域に達していませんが、いすれはそう言えるようになりたい。

視点を変えて、ものづくりのプロフェッショナルを考えると、
その人の経験も知識も趣味も人柄も、つまり自分の全人格を投入して初めてできる職業だと思います。
その人のすべてが表れるわけですから、絶対に嘘はつけないんです。

(プロフェッショナル仕事の流儀4より)
2008.04.25:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

家は自分の物語を育む場所

「あしながおじさん」の主人公ジュディ・アボットは孤児院で育ったから、普通の家は知らないんです。
彼女が友達の家に遊びに行くと、感触のいい手摺りがあって、屋根裏部屋があって、かくれんぼもし放題。そんなところに彼女は感動するんです。
家に何が必要かが本質的にわかるんですね。

家って、本当は楽しいものなんですよ。
自分の夢も、精神も住まわすことができる。
それが棲み処(すみか)なんですよ。
ただ住むだけの場所ではないんですよね。


By中村好文

(プロフェッショナル仕事の流儀4より)
2008.04.24:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

人々の喜びに接することができる仕事

建築にもさまざまな種類がありますが、独立以来ずっと個人のための住宅設計を専門に手掛けてきました。
突き詰めると、僕は人の暮らしというものが好きなんだと思います。
それをさらに突き詰めれば、人が好きなんでしょう。

また住宅の設計は、自分のした仕事の反応がダイレクトに返ってくるんですよ。
模型を出した瞬間、クライアントのウワーッという声を聞いただけで、この仕事は本当にやりがいがあると思えるんです。
人々の喜びに接することができる、それも嘘のない正直な気持ちを見ることができる仕事って、本当に素晴らしいと心から感じられるんです。

By中村好文

(プロフェッショナル仕事の流儀4より)
2008.04.23:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

経済的なプロポーション

家の設計には、常にコストの問題がつきまといます。
できるだけ経済的に、一円も無駄なお金を使わずに作りたいと思うんですね。
「ちょっとこうしたら格好いいかな」みたいな、僕の自己満足のためにお金を使うことはしたくないと思います。

ここはお金をかけてもいい、ここにはかけてはいけない、というバランスも含めて、いい家にしたいんですよね。
家のプロポーションというのは、目に見えるだけではなく、経済的なプロポーションもあるわけです。
そこを最も大事にしています。

By中村好文

(プロフェッショナル仕事の流儀4より)
2008.04.22:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

大きな重圧に立ち向かうには

多くの人にとって、家は生涯で最大の買い物。
その家をつくることは、ある意味では依頼者の人生を決めてしまう部分もある。
その重圧はありますよ。

だからおろそかにはできないという思いは常に持っています。
普通の人が数千万円というローンを組んでくるわけでしょう。
いい家にしてあげないといけない、という重圧をすごく感じます。

だからといって、萎縮してはダメなんですよ。
重圧は十分に感じながらも、どこかで呑気でないといけません。
自分を十分解放できていないといい家はつくれないと思っています。

やっぱり、自然体でいることが大事。
設計している時の気分は、完成した家にも表れます。
幸せな家というのは、設計者がまずそれを楽しまないとできないと思うんです。

ぼくは、自分自身が住みたい家にしたいんですよね。
自分が住んだらどうなるか、その家に入り込むことでアイデアが出てくる。
だから、プランニングしているときは、その家の中で暮らしているんです。

玄関から入り、階段を上がったり下りたり、家中を歩き回るんです。
春夏秋冬もあるし、一日のうちの時間帯もあります。
それから、病気になったらどうするか、トイレが遠すぎないだろうかとか。

それらすべてを、想像の中でシュミレーションしていくんです。
そういった作業が習慣化しているんですね。
それで、自分が気持ちいいと思える家、便利だと思える家をつくりたいんです。

By中村好文

(プロフェッショナル仕事の流儀4より)

2008.04.21:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]