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加藤博義のプロフェッショナルとは

まず、虚勢を張らないこと。できないことをできると言ってはいけません。
ただし、すべてを言えばいいというものでもない。
「私はここまでしかできません」とは、決して言ってはいけないと思います。

嘘をつく必要はない。できることはできると言えばいい。
でも、できないというのはプロがやすやすということじゃない。
何かやってくれるかもしれない、どうにかしてくれるかもしれない、
そう思わせるのがプロでしょう。

(プロフェッショナル仕事の流儀5より)
2008.05.25:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

職人として一番大事にしていること

一番大事にしているのは、評価の基準がブレないようにすること。
その基準は何かと聞かれたら、「私です」と言うしかないのですが・・・。
何がブレてはいけないかというと、自分自身の意思と基準となる感覚です。
車の評価は、五感も使うし、それを言葉で伝えなければいけないので、どちらが
ブレてもダメだと思うんです。

また、信条としていることは、「負けず嫌い」です。
お客様に対しても。エンジニアや同僚に対しても、自分がこれだと思ったことは
絶対に譲らないし、諦めません。
嫌な仕事や苦手な仕事に直面したときも、この負けず嫌いな性格が功を奏してき
たんじゃないかと思います。
「これを克服するにはどうしたらいいんだろう」と考えますから。

By加藤博義

(プロフェッショナル仕事の流儀5より)

2008.05.24:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

余裕は持つのではない、つかむもの

加藤は、テストドライバーとして、ドイツの山奥に送り込まれた。
世界最難関のテストコース、ニュルンブルリンク。
意気揚々とやってきた加藤は、コースを見るなり茫然とした。

「正直、生きて帰れるんだろうかって思いました。これは本当にテストコースか、と」
急激な下り坂に、先の見えない急カーブが続く。道幅わずか8メートル。その横は崖。
そこを、時速200キロメートルで走り抜けなければならない。

加藤は恐怖でアクセルを踏み込めず、全くテストにならなかった。
結局、現地のドライバーに頼み性能評価をしてもらった。屈辱だった。
しかし、翌年も、また翌年も、加藤はドイツに送られた。

投げ出さないと上司に誓った約束。
しかし、コースに出れば緊張で体はガチガチ、毎日のように自分が事故で死ぬ夢を見た。
どうすれば余裕を持って走り、車を評価できるのか、誰も教えてくれなかった。

5年が経った。加藤は意地だけで難関コースに挑み続けていた。
ある日、ハンドルを握りしめず、指だけで持ってみた。
力の入れようがなく、力みが少し抜けた。勇気を出し、コーナーに200キロで突っ込んだ。

急カーブを乗り切った。指先で初めてタイヤの動きが感じられた。
次第に車の性能評価ができるようになってきた。
這いつくばるようにして、コースに挑みつづけて5年。加藤は気づいた。
「余裕は持つものではない、つかみとるものだ」

(プロフェッショナル仕事の流儀5より)
2008.05.23:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

テストドライバーの存在意義

現在では、エンジニアがデジタルで設計しただけでも、お客様に迷惑をかけるよ
うな車は絶対にできません。
それは、データの積み重ねの結果です。
ただ、「振る舞い」みたいなものまでは、一朝一夕にデータ化できるものではな
いんですね。

車の整備から、テストコースを回って帰ってくるまでのあらゆる場面をすべて書
き出すには、要素の数が多すぎるのです。
それに、いくらデータ化したところで、人間でなければ判断できないところがた
くさんあります。
最後にものをいうのは、データを踏まえたうえでの人間の感性だと思います。

By加藤博義

(プロフェッショナル仕事の流儀5より)
2008.05.22:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

テストドライバーはどんな運転を心がけているのか

テストドライバーの運転で大切なのは、ズムーズであること。これに尽きると思
います。
自動車は、路面からの入力でいろいろな動きをします。
それに対して、アクセルやブレーキ、ステアリングを切ったりすると、それでま
た動きが変わってしまう。
普通に評価するためには、スムーズな運転が必要なのです。

基本的な運転そのものは、テストドライバーも一般の人と一緒です。
ただ、スムーズさを追求したり、再現性を強く意識して運転することろが違いと
いえるかもしれません。
同じ操作と違う操作を何回も繰り返しながら、車の「振る舞い」を評価していく
わけです。

By加藤博義

(プロフェッショナル仕事の流儀5より)
2008.05.21:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]