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新しい人生を切り開く

塚本さんが樹木医になったのは40代になってから。
新しい人生を切り開くのに年齢は関係ないのだろうか。
どういう意識を持てば前へ進むことができるのだろうか。


それは、できないのではなく、やらないだけでしょう。
新しいことに挑戦すれば、素晴らしい人やいろいろなものに出会える楽しみもある。
それを逃すのは損ですよね。
何事も、やってみなければわからないじゃないですか。

私は、物事をあまり深刻に考えないんですね。
「ここが転機だ」などと身構えることもない。
とにかく進むこと。動き続けることじゃないでしょうか。

By塚本こなみ

(プロフェッショナル仕事の流儀6 FileNo.16より)


2008.06.14:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

なぜ木を治しつづけるのか

どんなに診ても、何がしようと思っても、最終的には「木は治療を欲していない」という思いに行き着くんです。
病気になって朽ちていくのも「大自然の中の掟だよ」と言われているような気がします。

ただ、私のできることは、できる範囲でやってあげたいと思うんです。
樹木医になってすぐに、八十代のおばあさんから庭の赤松が枯れそうだからと頼まれました。
うかがうと「この木が死んだら私も死んじゃうの」と言う。
でも、松の治療をし、やがて新芽が出たとき、
おばあさんの顔が変わったんです。
すごくいい顔になった。
それを見て、もしかしたら私の仕事は木の医者ではなく、依頼者の心の支えに少しでもなってあげることなのかなと、うれしくなりました。

By塚本こなみ

(プロフェッショナル仕事の流儀6FileNo.16より)
2008.06.13:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

木から教わったこと

人間も自然の一員であり、人も木も生命として同じだなと思います。
「この木を治療してやる」という態度でいたら治療はできません。
「治療をさせてもらうけど、教えてください」という気持ちで臨むと、いろいろなことが見えてくるんです。

最初のうちは小生意気な女だったと思います。
それでも、最初はうまくいく。
それで自信過剰になって、「この木は私が治療するんだ」と立ち向かうと、木からシャットアウトされてしまう。
ものを言わないからこそ、
謙虚な気持ちで一生懸命に木の声を聞かないといけないとつくづく思います。

By塚本こなみ

(プロフェッショナル仕事の流儀6FileNo.16より
2008.06.12:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

突破口となった斬新なアイデア

大木の移植で一番のポイントは、幹をしっかり養生して固定し、吊り上げる瞬間
です。
木を傷めずにそれを行うのが非常に難しい。
しかもあの大藤は、とにかく傷が付きやすく、しかも幹の形が独特なんです。

だから、一年経ち、一年半が経ち、後一ヶ月で移植というときになっても方法が
わからない。
ありとあらゆる方法を考えたんですが、どれもダメ。
そんなとき、社員の一人が「昔バイクで事故を起こしたとき、首にギブスをして
入院した」といったんです。

「石膏でやったらどうだろう」
すぐに外科に行って石膏を分けてもらい実験しました。
すると、外から衝撃を与えてもびくともしない。「これだ」と思いました。

移植まで一ヶ月という時期にそのアイデアにたどり着いたのは、本当に偶然です。
ただ、答えを強く欲していたのは確かです。
いつも思うのは、「望めばかなう」ということ。
強く願っていれば、きっと訪れた幸運を逃がさないのではないでしょうか。

By塚本こなみ

(プロフェッショナル仕事の流儀6 File No.16より)
2008.06.11:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

不可能と言われた大藤の移植

あの藤は「250畳の大藤」といわれていた大木です。
幹周りは4メートルあって、移植は不可能とされていました。
移植してくれる人を4年間探した末に、私に依頼が来たんですね。

それまで藤の木を触ったことはなかったんですよ。
それでも請けたのは、まず最初に木のエネルギーを感じたから。
あとはやり方を考えればいいと、安易に受けてしまったんです。

色々な文献を調べましたが、「移植できるのは直径60センチまで」と書かれて
いる。
なるほど、だから誰も請けなかったんですね。
この仕事がいかに大変かは、始めてすぐにわかりました。

結局、移植には2年という準備期間を要しました。
「こんな仕事を請けなければよかった」と何度思ったことか。
とにかく眠れないんです。布団に入ると頭の中に木のことがグワーッと出てきて。

そんな苦しい状況でしたが、「やっぱりできません」とはいえないんですよ。
なんとかなる。やってみなければわからない。ずっとそう思っていましたね。
私の技術や能力で動くのではなく、きっと木が動いてくれる。そう信じていました。

By塚本こなみ

(プロフェッショナル仕事の流儀6より)
2008.06.10:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]