基本的に、私どもの店は、普通の値段ではないので、
「もっとこうしてほしい」という要望は当然あるでしょうね。
(ちなみに、夜の献立は一席五万円)
肉しか食べない方とは反対に、野菜しか食べられない方も来られます。
出し汁に鰹節も使えないので、昆布やしいたけをベースにしたり、
そこにペースト状の野菜を入れ、ポタージュ風にしたり、と工夫をします。
そういった料理の発想は、思いつきから生まれることが多いのですが、
経験していないことには思いつかないわけです。
引き出しの中に様々な経験が入っていて、それを組み合わせる感じ。
By徳岡邦夫
(プロフェッショナル仕事の流儀7 File No.21より)
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102%にこだわる
この日、夜に来店する客から電話が入った。相手はアメリカ人の観光客。
夫は、魚も野菜も食べられないという。
高級料亭で、肉だけのコースなど前代未聞。それでも、徳岡は予約を受けた。
「人間の能力は、使わないと縮む気がします。
だから、いつも102%とか、そういうギリギリの危険の淵に立つんです」
もう、いつ落ちるかわからないっていうときに、プッと能力が膨らむ気がすると
いう。
徳岡は、八皿の肉料理をすべて違う味付でつくることにした。
客が来るまで、あと4時間。
ソースや調理方法を吟味し、これまでにない和食コースを考える。
次々に新たな肉料理をつくり出した。
客の反応が気になる徳岡。衝立の後ろで聞き耳を立てる。
「Looks good(おいしそう)」「Excellent skill(すごい腕前だ)」
伝統を守り、伝統を壊して客をもてなす。
この日も無事、一日を終えた。
(プロフェッショナル仕事の流儀7 File No.21より)
夫は、魚も野菜も食べられないという。
高級料亭で、肉だけのコースなど前代未聞。それでも、徳岡は予約を受けた。
「人間の能力は、使わないと縮む気がします。
だから、いつも102%とか、そういうギリギリの危険の淵に立つんです」
もう、いつ落ちるかわからないっていうときに、プッと能力が膨らむ気がすると
いう。
徳岡は、八皿の肉料理をすべて違う味付でつくることにした。
客が来るまで、あと4時間。
ソースや調理方法を吟味し、これまでにない和食コースを考える。
次々に新たな肉料理をつくり出した。
客の反応が気になる徳岡。衝立の後ろで聞き耳を立てる。
「Looks good(おいしそう)」「Excellent skill(すごい腕前だ)」
伝統を守り、伝統を壊して客をもてなす。
この日も無事、一日を終えた。
(プロフェッショナル仕事の流儀7 File No.21より)
伝統を守り、伝統を壊す
京都・嵐山に日本を代表する高級料亭がある。
総料理長・徳岡邦夫、今、日本料理の新しい担い手として海外からも注目される。
伝統にとらわれない斬新な料理は、日本料理の“アバンギャルド”と賞賛さる。
徳岡の信条は「伝統を守り、伝統を壊す」
そこには、格式のある「日本料理」「高級料亭」といったこだわりはない。
「どうせやるなら徹底的にやるほうが面白い。何したって一生に一回ですから」
徳岡の料理は、しきたりにとらわれない厨房から生まれる。
調理人の仕事は分業制だが、その和やかな雰囲気は他の料亭と全く違う。
総料理長の徳岡に対し、若手スタッフがごく自然に軽口をたたく。
休憩時間には、いつも笑い声が響く。厳しい上下関係は一切ない。
和やかな空気は、徳岡が意識して作りだそうとしてきたもの。
「楽しい職場の方が、力を発揮できる」と徳岡は考える。
(プロフェッショナル仕事の流儀7 File No.21より)
総料理長・徳岡邦夫、今、日本料理の新しい担い手として海外からも注目される。
伝統にとらわれない斬新な料理は、日本料理の“アバンギャルド”と賞賛さる。
徳岡の信条は「伝統を守り、伝統を壊す」
そこには、格式のある「日本料理」「高級料亭」といったこだわりはない。
「どうせやるなら徹底的にやるほうが面白い。何したって一生に一回ですから」
徳岡の料理は、しきたりにとらわれない厨房から生まれる。
調理人の仕事は分業制だが、その和やかな雰囲気は他の料亭と全く違う。
総料理長の徳岡に対し、若手スタッフがごく自然に軽口をたたく。
休憩時間には、いつも笑い声が響く。厳しい上下関係は一切ない。
和やかな空気は、徳岡が意識して作りだそうとしてきたもの。
「楽しい職場の方が、力を発揮できる」と徳岡は考える。
(プロフェッショナル仕事の流儀7 File No.21より)