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花火の虜

花火には不思議な魅力があるんですよ。
光と色と音の三つが重なり合う魅力と爽快感は、格別なものがあります。

動物と人間の決定的な違いは、火を扱えるかどうかといわれています。
また、文明の発達は火を扱うことによって押し進められたとも聞きます。

そういう意味で、火には文明のふるさとみたいなとことがあって、
それを扱うことに対する憧れみたいなものが人間にはあるのではないかと思います。

その火を芸術化したものが花火なんです。
だから、その魅力は人間の心に沁みついているんですね。

By野村陽一

(プロフェッショナル仕事の流儀8 File No.24より)
2008.08.14:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

競技会をあきらめなかった理由

奮起した野村さんは、競技会で好成績を目指し始めた。
しかし、なかなかいい成績には届かなかった。
それでも参加しつづけた。

競技会に参加して技を競っていかなければ、進歩がありません。
自分がどのくらいの位置にいるのかを知ることは必要だし、
順位がつくことで、自分の技量の判断基準にもなるわけです。

自分の代でいい花火をつくり、「野村の基礎」を築こうという考えがあったので、
ひたすら愚直に参加し続けて、成績を見ていこうと決めたんです。

By野村陽一

(プロフェッショナル仕事の流儀8 File No.24より)

2008.08.13:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

闇夜のカラスといわれて

「闇夜のカラス」というのは、花火師にとって本当に屈辱的な言葉でした。
それを聞いた瞬間、体に電気が走ったようになって、生き方を変えようと意識が
切り変わったのです。

その後、結果が出るまでの十九年間はつらい時期でした。
本当に、寝ても覚めても花火のことばかり考えていました。

あらゆるものを絶たないといいものは出来ないのではないかと、あえて厳しい状
況に身を置くことにしたのです。
それにしても、十九年は長かったですね。

よい結果に結びついたのは、決してあきらめなかったからでしょう。
くじけそうになったことはありましたが、いいものをつくろうという志は折れま
せんでした。

By野村陽一

(プロフェッショナル仕事の流儀8 File NO.24より)

2008.08.12:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

独学で研究した成果

花火の技術には教科書もありませんし、教えてくれる人もいません。
だから、実験を地道にやっていくしかありませんでした。

花火は何万種類という調合による変化があって、火薬一グラムの配合で結果が変
わります。
材料も品質のいいものと悪いものを取捨選択しなければならない。
そういったことを一つひとつ検証していったのです。

競技会でいい成績を出すのに十九年かかりました。
長い年月ここまでかけてできたわけで、いい花火はいきなりできるものではあり
ません。

初めて優勝したときは、辛い思いが一瞬にしてけし飛んだというのが実感です。
結果が出たことがうれしくて、ただただ感激していました。

By野村陽一

(プロフェッショナル仕事の流儀8 File No.24より)
2008.08.11:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

自分に厳しいのはなぜか

自分に甘い点数をつけてしまったら、それまでだと思っています。
普段はずぼらで、いい加減だったり、感情に負けることもたくさんあります。

しかし、花火に関しては完璧主義なのかもしれません。
出来がよくないと非常に気持ちが悪いんです。

まだまだ完璧には程遠い花火ばかりです。
おそらく私の代では完成しないと思うので、次の代に託したいという気持ちもあ
ります。

By野村陽一

(プロフェッショナル仕事の流儀8 File No.24より)
2008.08.10:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]