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英語を好きにさせる魔法の授業

田尻は、授業を始めても教科書をいきなり開かせない。
配ったのは人気アニメキャラクターが描かれたプリント。
この日の授業のテーマは、新しく教える疑問詞の「who」。

説明もせずに、いきなり英語で質問を始めた。
「Who is this? Raise your hand! It's....?」

一人の生徒が恐る恐る「It's...たこやきまん」と答える。
田尻は満面の笑みで大きくうなずく。「Very good!」

ゲームだとわかった生徒たちは、一気に乗ってきた。
声をあげ、競って手を挙げる。

生徒が答えを間違えると、田尻は全身で残念がる。
正解すると破顔一笑、大きなリアクションで盛り上げる。

生徒を心から楽しませるこのゲームは、授業を始める前の準備運動。
教室の熱気が最高潮に達すると、おもむろに教科書を開かせる。

会話の練習では、クラスを4~5人のグループに分け、
例文とともに生徒たちに英文を考えさせ、読みあげさせる。

そして、読みあげる時間をストップウォッチで計り、グループで競争させる。
他のグループに負けまいと、皆、必死になる。

競わせ、夢中にさせることで、勉強であることを忘れさせる。
それによって英語を身近なものにしようというのが、型破りな授業の狙いだ。

(プロフェッショナル仕事の流儀9 File No.25より)
2008.08.19:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

マジシャンと呼ばれる中学校教師

島根県八束郡出雲町。この町の中学校が、英語教育界の熱い注目を集めている。
教室でカルタ取りに興じる中学生。英単語を当てるれっきとした英語の授業だ。

授業が終わっても生徒たちは教室に残る。友達同士の英語の教え合いが自然と始
まる。
「勉強なのに、どうしてこんなに一生懸命なるんだろう」。生徒自身が不思議そ
うに語る。

生徒たちを虜にするのは、英語教師・田尻悟郎。人呼んで英語のマジシャン。
2001年、英語教育界最高の栄誉とされる「パーマー賞」を受賞した。

講演会や研修会を開けば、授業の秘密を知ろうと現役教師が押し寄せる。
教師たちは「これまで、自分は何を教えていたのか」と斬新な授業に衝撃を受ける。

プロの教師をも驚かせ、子どものやる気を魔法のように引き出す田尻の授業。
その陰には、人生の壮絶な失敗があった。

(プロフェッショナル仕事の流儀9 File No.25より)
2008.08.18:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

永遠の一瞬に懸けるプロの矜持

一瞬のきらめきの背後に気の遠くなるような花火師の作業がある。
生物界には、コストのかかったシグナルほど真剣に受け止められるという法則が
ある。

花火も、そこに大変な努力が注ぎ込まれているからこそ、見る者の心が動かされる。
野村さんは、自然の営為と同じことを、注意を払い、計画し、想像を膨らませて
実現する。

見る者にとって、それがまるで自然の中からポッと出てきた魔法のように思える
としたら、それはむしろ本望といえるのではないだろうか。

By茂木健一郎

(プロフェッショナル仕事の流儀8 File No.24より)
2008.08.17:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

野村陽一のプロフェッショナルとは

自分流のスタイルにこだわって、とにかくこだわってこだわってこだわりつづけて、
結果が出るまで、技術という原石を磨きつづける人。
それが、その道のプロフェッショナルだと思います。

長くやっていればいい結果が得られるわけではありません。
何年かかるかわからないし、もしかしたら結果が出ないかもしれない。
それでも自らのスタイルだけは大事にしていく。そのことが重要だと思うんです。

(プロフェッショナル仕事の流儀8 File No.24より)
2008.08.16:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

理想の花火をつくるには

理想の花火をつくれるとしたら、それに必要なのは「素直な心」ではないでしょ
うか。
そういうものがないと、ものが見えてきません。
原点は、その人の性格でしょう。

技術の問題ではないんです。
気持ちのまっすぐな人はいい花火をつくっています。
素直な心、正直な心、そして畏怖の心といったものが必要ではないかと思うんです。

つくるからには、後世に語り伝えられるものにしたいし、
生涯をかけて完璧な花火を追い続ける。
そういう気持ちはいつまでも持っていたい。

By野村陽一

(プロフェッショナル仕事の流儀8 File No.24より)
2008.08.15:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]