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「日本人ファースト」と映画「国宝」と…排外と包摂(ほうせつ)のはざまに漂う〝魂の交歓“~2人の在日3世からの訴え!!!???

  • 「日本人ファースト」と映画「国宝」と…排外と包摂(ほうせつ)のはざまに漂う〝魂の交歓“~2人の在日3世からの訴え!!!???

 

 「日本人ファースト」という狂気じみた絶叫を振り払いたい一心で、参院選の投開票が行われた20日、隣町の映画館に飛び込んだ。293席はほぼ満席で、最前列に残っていた1席に辛うじて、滑り込んだ。見上げるような目の前のスクリーンではきらびやかな歌舞伎の舞が狂うように踊っていた。

 

 映画「国宝」(吉田修一原作、2025年)は仁侠一門に生まれた立花喜久雄(吉沢亮)が希代の女形にのし上がるまでの一代記である。監督は在日コリアン3世の李相日(イ・サンイル)さん。日本中の感動を呼び起こした「フラガール」(第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞、2006年)を手がけたことでも知られる。本作は禁断の歌舞伎の世界に渦巻く「血筋や才能」、「信頼と裏切り」に切り込んだ作品で、いまや社会現象にもなりつつある。「あなた、歌舞伎が憎くて憎くて仕方ないんでしょう。でもそれでいいの。それでもやるの。それでも舞台に立つのがあたしたち役者なんでしょうよ」―。“人間国宝”の万菊(田中泯)が喜久雄にこう諭(さと)した刹那(せつな)、私はいきなり現実に引き戻された。

 

 「バカ・チョン」発言(16日付当ブログ「追記―3」と「追記ー4」参照)―。今回の参院選で大きく躍進した参政党の神谷宗幣代表は終盤戦の応援演説で、「朝鮮人差別」をむき出しにして、こう言い放った。鬼気迫る喜久雄の名演技とこの発言との乖離(かいり)に一瞬、頭の中が真っ白になった。李監督は喜久雄の生い立ちについて、「その中に…外様というと語弊があるかもしれませんが、血筋ではない人たちも多々加わって、それぞれ長きにわたってファミリ―を“組成”してきたわけです」(パンフレットから)と語り、こう続けている。「(主演の吉沢が)どこからきたのか…出自が分からないようなたたずまいがいい」―

 

 血筋や出自…。李監督はこうした”血”のこだわりを超越した地平にこそ、例えば歌舞伎のような真の伝統「文化」が開花するということを示したかったのではないか。「文化は国境を超える」ー。室町時代から江戸時代にかけて、朝鮮から日本に派遣された「朝鮮通信使」という外交使節団があった。主に将軍の代替わりを祝うために、国書を持参して日本へ。通信使は約400人から500人で構成され、訪日は12回にわたった。日韓の平和構築と文化交流の基礎をつくった当時の記録は2017年、ユネスコの「世界記憶」遺産に登録された。 

 

 スクリーン上では最後のクライマックスシーンの「曽根崎心中」が演じられていた。その瞬間、「日本人ファースト」というあの絶叫がウソのように耳の底から消えていった。まるで、敗者がどこかに身を隠すかのように…。(あるいは、これは私の空耳だったかもしれないが)割れるような拍手とともに、幕が下りた。満席の会場を眺めながら、私は「土俵際で踏んばったな。この国はまだ、大丈夫かもしれない。あきらめるのは早すぎる」と独りごちた。いまの時代状況を逆照射する映画との出会いに救われたような気持になったのである。

 

 歴史修正主義者は少なくとも、修正されるべき”歴史”の存在を前提にしているのに対し、参政党の主張の中にはそもそも、その”歴史”そのものさえ存在しない。存在するのは、例えば「創憲案」という表現に見られるような歴史の”捏造”(ねつぞう)だけであり、これは十分に「犯罪」である。

 

 

 

(写真は吉沢亮が演じる女形の熱演=インターネット上に公開の写真から)

 

 

 

 

≪追記ー1≫~「日本人ファ―スト」と「国宝」…どっちが本物の“社会現象”か!!??

 

 俳優の吉沢亮、横浜流星らが出演し、歌舞伎の世界を描いた映画『国宝』が、公開から46日間(6月6日~7月21日)で観客動員数486万人、興行収入68.5億円を突破。社会現象とも言える盛り上がりを見せる中、本作が「第50回トロント国際映画祭」Special Presentation部門に出品されることが決定した。李監督の作品が同映画祭に出品されるのは、2006年『フラガール』、2013年『許されざる者』、2016年『怒り』に続き4作目となる(オリコンニュース)

 

 

≪追記―2≫~明日のディストピア

 

 「排外主義者たちの夢は叶(かな)った」という一文でその本は始まる。「特別永住者の制度は廃止された。外国人への生活保護給付は明確に違法となった。公的文書での通名使用は禁止となった。ヘイトスピーチ解消法もまた廃された」。パチンコ店は風営法改正で、韓国料理屋や韓国食品店は連日の嫌がらせで廃業に追い込まれた。父が在日韓国人、母が日本人の主人公はふとつぶやく。「日本初の女性総理大臣が、あれほどまでの極右だったとは僕もすっかり騙された」

 

 李龍徳(イ・ヨンドク)の小説『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』(河出文庫)の冒頭部分である。まるで参院選後の日本を予言するような戦慄(せんりつ)の近未来!現実との類似はそれだけではない。排外主義的な法改正は、中道左派の政党がほぼ絶滅し、神島眞平(かみじましんぺい)なる人物率いる極右政党「新党日本愛」が野党第一党に躍り出て、政権与党と政策取引をした結果だった。

 

 作者は在日三世の作家で、初版は参政党の結党(2020年4月)に先立つ同年3月。「日本人ファースト」がどんな結果を招くかを、この小説は余すところなく描く。待っているのはヘイトクライムが横行する絶望的なディストピアだ。放置すれば事態はすぐここまで行く。極右の主張は感染力が高い。だからこそ対抗しうる言葉を発し続けることが必要なのだ(7月23日付「東京新聞」本音のコラム=文芸評論家、斎藤美奈子)

 

 



 

 

 

★オンライン署名のお願い★

 

 

 「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。「病院跡地」への立地を求める市民運動グループは七夕の7月7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」と話している。

 

 「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。

 

 私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振るって署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 

 

●オンライン署名の入り口は以下から

 

https://chng.it/khxdhyqLNS

 

 

●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ

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・ヒカリノミチ通信(増子義久)  https://samidare.jp/masuko/

 

・おいものブログ~カテゴリー「夢の新花巻図書館を目指して」   https://oimonosenaka.seesaa.net/ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

言葉、果つる今…イーハトーブの宙(そら)に詩人の声(言霊)を~日本人ファーストの嵐の中で、「ゴットン、ゴットン」!!??

  • 言葉、果つる今…イーハトーブの宙(そら)に詩人の声(言霊)を~日本人ファーストの嵐の中で、「ゴットン、ゴットン」!!??

 

 「七つ八からカンテラ提げて/坑内下がるも親の罰(バチ)、ゴットン」「親の因果が子にまで報い/長い坑道でスラを引く、ゴットン」…。60年以上前の記憶の地層が崩れ、まるで地底(じぞこ)の闇にぐいぐいと引き込まれていくような気持になった。駆け出し記者だった当時、この“ゴットン節”は日本一の石炭産出地だった筑豊の閉山炭住の一角からもれ聞こえてきた。「筑豊文庫」の看板を掲げたこの家の主の記録作家、故上野英信さんは酔っぱらうと必ず、この仕事唄を口ずさんだ。「まず、地獄ば見んことには…」

 

 ”排外主義”をあおる参院選や迷走を極める足元の新図書館問題、議員報酬アップ騒動…。まるで、魂を失ったような言葉の集中砲火の中、まちの中心部に「ゴットン、ゴットン」のリズムが響いた。筑豊の中心部の飯塚市在住の詩人で、ゴットン節の唄者としても知られる「友理(ゆうり)」さんと「ガレキの言葉で語れ」(壷井繁治賞)などの代表作がある岩手県詩人クラブ会長の照井良平さんとの初コラボ。「星座の森の誓い」(照井作)と「虫じゃ!皮膚科老人の銀河~」(友理作)の二つの自作詩がぶっつけ本番で交錯した瞬間、私は地底の闇と銀河宇宙とが同化したのではないかと錯覚した。

 

 「7歳ぐらいの時かな、(常田富士男さんが朗読した)『春と修羅(序)』を聴いた。そのまま、宇宙の彼方に連れていかれるような感動を覚えた」―。友理さんは朗読会の冒頭この序を紹介しながら、こう続けた。「なぜ、人は宮沢賢治を愛するのか。それは彼が人々の本当の幸いを常に願い、その純粋な気持ちだけで言葉を紡いだ人だからではないでしょうか」ー。「偉大なるエゴイスト」とも呼ばれた上野さんの著書―『追われゆく坑夫たち』の中にこんな一節がある。

 

●「地獄極楽、いってきたもんのおらんけんわからん。この世で地獄におるもんが地獄じゃ」。 娘のころは父につれられて、結婚してからは夫とともに、うまれた娘が大きくなるとその娘をつれて、一生を暗黒の地底で働きつめたひとりの老婆がいつもこう呪文のようにつぶやいていた言葉を、私は忘れることができない。私のききあやまりではない。彼女は決して「この世の」とはいわなかったし、まして「この世の地獄が地獄じゃ」などとはいわなかった。彼女はあたかも「この世で悪魔を見るものが悪魔だ」とでもいうような調子でたしかに「この世で地獄におるもんが地獄じゃ」といっていた。そうだ、私にとって問題であるもの、それは「この世の地獄」ではなくて、「人間そのものとしての地獄」であり「地獄そのものとしての人間」である●

 

 友理さんは1987年、上野さんが64歳の若さで旅立ったちょうど1週間後、まるで生まれ変わりのようにこの世に生を受けた。「そう、英信さんの魂はずっと、私の心の中に生き続けています」と友理さん。絶筆のメモ用紙に上野さんはこんな言葉を残して、息を引き取った。「筑豊よ/日本を根底から/変革するエネルギーの/ルツボであれ/火床であれ」―。私は友理流のゴットン節に耳を傾けながら、「筑豊」を「イーハトーブ」に置き換え、「ゴットン、ゴットン」と一人うなずいていた。「この世で地獄におるもんが地獄じゃ。今もそう、何も変わってない。いやますます、地獄の底は深くなっている」と……

 

 

 

(写真は息子さんを背中であやしながら、ゴットン節を唄う友理さん。右が照井さん=7月13日午後、花巻市上町の「賢治の広場」で)

 

 

 

 

≪追記ー1≫~賢治さんのお導き!!

 

 ブログを読んだという友理さんから、さっそくメールが届いた。酷暑といや~な時代の空気に囲まれ、精神がおぼつかなくなっていた矢先だけに友理さんの「聲(こえ)」がこの愚鈍(ぐどん)を目覚めさせてくれたようだった。感謝を込めて、以下に転載させていただく。なお、(田代)友理さんは新図書館のオンライン署名にも賛同を寄せて下さった。

 

 

 ただいま(16日午後1時半)、羽田空港におります。まさか、東北の地で筑豊にご縁のある方にお会い出来るとは思いもしませんでした。先祖たち、何かもっと大きな存在の采配を感じました。宮沢賢治に出会っておそらく30年、「聲ノ道」を歩き始めて15年になります。これまではただ、聲を撃つことばかりに必死でしたが、ここ2年くらいからふと、「人間ノ想ヒ」を聲に載せたい、表現したいと思うようになりました。これからも聲ノ道、詩ノ道、そして人ノ道を、地に足をつけて歩んでまいりたいと思います。これからも何卒よろしくお願い申し上げます(註:「聲の道」は詩人・朗唱家の天童大人さんがプロデュースする、肉聲の復権を目指すプロジェクト。日本を代表する詩人、故白石かずこさんの聲からスタートし、現在16年目)

 

 

≪追記―2≫~賢治と「日本人ファースト」、そして「人間ファースト」…!?

 

 「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」(『農民芸術概論綱要』)―。賢治が世界平和(世界ファースト)を訴えた「イーハトーブ」の地にも「日本人ファースト」の波が押し寄せつつある(13日付当ブログ参照)。その一方、日本列島ではクマの出没が相次ぎ、死傷者も出ている。日本人ファーストならぬ「人間ファースト」に怒ったクマたちの”反乱”なのかもしれない。

 

 猟師の小十郎とクマとの交感を描いた作品こそが、賢治の代表作『なめとこ山の熊』である。アイヌ民族に伝わる伝統的な儀式―イオマンテ(熊の霊送り)を裏返した、クマたちによる「小十郎の霊送り」とも読み取れる重厚な物語である。だからこそ、この地から“イーハトーブ・ルネサンス”(真の意味の文明開化)の狼煙(のろし)を挙げたいと思う。友理さんのゴットン節を聴いて、その思いを強くした。筑豊の”火床”をイーハトーブへ…。ソーシャルディスタンス(社会的距離)の大切さを学んだのはコロナ禍の「人間の側」ではなかったのか。

 

 

 

≪追記―3≫~筑豊と〝チョン靴“と「日本人ファイースト」と!!??

 

 いまや、時流に乗った感がある参政党党首の発言内容はほとんどが荒唐無稽なので極力、聞き流すことにしているが、三重県四日市市で飛び出した“バカ・チョン”発言は到底、看過することはできない。当人はこの差別発言をすぐに撤回したらしいが、私の脳裏にはある戯(ざ)れ歌がとっさによみがえった。

 

 「朝鮮、朝鮮 パカにすな~同じメシ喰ってどこ違う~足の先がちょっと違う」―。新聞記者として、初めて「筑豊」に足を踏み入れた時、先の尖がった「朝鮮靴」を〝チョン靴“と揶揄(やゆ)してこう呼んでいることを知り、ショックを受けた。そんな一角に炭鉱の汚染水が流れ込み、周囲から「地獄谷」と蔑(さげす)まれる谷底があった。朝鮮人や被差別部落民が肩を寄せ合って暮らす小さな集落だった。

 

 「弓/長」という表札を掲げた一軒家があった。本名は「張」さん。「強制的に名前を変えさせられた時(創氏改名)、親から受け継いだ名前を引き裂かれたくなかった」と張さんは唇をかみしめながら、言った。近くの寺の納骨堂には炭鉱の事故や拷問、衰弱などで異国に没した同胞たちの遺骨がホコリにまみれて放置されていた。ほとんどが戦争による労働力不足を補うため、強制連行された朝鮮人や中国人だった。今次の参院選ではとりわけ、「移民問題」に関心が集まっている。私はいま、頭蓋骨がはみ出した骨箱の山を凝視し続けている。

 

 

 

≪追記―4≫~映画「国宝」と日本人ファースト!!!???

 

 在日コリアン3世の李相日監督の映画「国宝」(吉田修一原作)が大きな関心を呼び、社会現象化しつつある。日本の伝統芸能である歌舞伎を見事に描き切った、その文化融合の成果に惜しみのない拍手が送られているのだと思う。そういえば、クリント・イーストウッド監督の西部劇「許されざる者」のリメイク版(2013年)にアイヌ民族を登場させたのも李監督だった。

 

 その時、アイヌ青年の主人公役に抜擢されたのが知友の通称「デボ」(秋辺日出男)だった。先月下旬、デボは沖縄で開かれたイベント「戦後80年―これからのアイヌとウチナーンチュ」の講師に招かれた。「最近のヤマト(ニッポン)、どこか狂ってますね」とそのデボからラインがあった。「排外主義」が大きな争点になっている参院選の投開票が明日20日に行われる。この節目の日にこそ、満を持していた「国宝」を観てこようと思う。


 

 

 

 

 

 

 

 

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 「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。

 

 

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底なし沼のイーハトーブ議会…狂騒曲第1番「報酬10万円アップ」~アレッ、今度は“パワハラ”市民の登場だって!!!???

  • 底なし沼のイーハトーブ議会…狂騒曲第1番「報酬10万円アップ」~アレッ、今度は“パワハラ”市民の登場だって!!!???

 

<第1幕>

 

 「言わずもがなのことですが、目の前にいる皆さんは有権者によって選ばれ、市政を託された議員という立ち位置にあります」―。最大で月10万円アップを内容とする「議員報酬に関する市民説明会」の席上、私は質問に先立ってこう発言した。目の前には8人の議員が居並び、中央にはこの問題を審議する「報酬調査検討特別委員会」委員長の高橋修議員(明和会)が陣取っていた。参加者はわずか5人。私は1カ月前の議場の光景を思い出しながら、ふたたび全身に悪寒が走るのを覚えた。当時のブログに私はこう書きつけている。

 

●「いつまでやってんのか」―。まるで、ヤクザの口上丸出しの発言にびっくりした。6月10日開催の花巻市議会6月定例会で、新花巻図書館にかかる設計業務委託費の審議の際、(駅前立地への)賛成討論に立った高橋修議員(明和会)が興奮しながらいきなり、まくしたてた。「私が言ってるんじゃないですよ。家族も親戚も周りも全部…」。そして、「この予算を否定することは民意を否定することにつながる」と言い及ぶに至って、この老残の身もついに怒り心頭に発した。キレタ。「馬鹿野郎、お前に言われる筋合いはないよ」(6月10日付当ブログ参照)●

 

 「議員としての責務と活動領域は拡大し、議員の専門性が求められているところや、若い世代や女性など多様な人材が議会に進出しやすい経済的な活動基盤を確保していくため…」―。現行の議員報酬は月額「339,000円」。今回の改定案は413,000円(74,000円増)と439,000円(10万円増)のいずれかへという内容である。資料を見やりながら、またキレタ。「このテーマに入る前にまず、議員のあるべき資質を問いたい」。1年前もこんな酷暑だった。私を含めた後期高齢者のグループはフラフラになりながら、新図書館の「病院跡地」への立地を求める街頭署名に立っていた。杖をつき、車いすに身を委ねながら、署名を呼びかける姿が目の前に去来した。

 

 「あれから1年、この国はますます酷(ひど)くなっている。収まる気配のない物価高、令和の米騒動にトランプの関税騒ぎ…。参院選を前にした2万円のバラマキ給付、これだって、元をただせば国民の税金、そして今度はその税金を私たち議員にだって。冗談じゃない、ふざけるんじゃない」―。テンションが高まり、高橋議員じゃないが、こっちもヤクザ口調に。「ちょっと、言葉使いに留意して」と高齢の議員が間に入った途端、さらにテンションがアップした。件(くだん)の議員が6月5日付の当ブログに登場いただいた照井省三議員(社民クラブ)だったからである。この人とは浅からぬ因縁がある。

 

 私が現役市議だった当時、議員説明会の席上である質疑をめぐって対立し、照井議員から体当たりを食らったことがあった。同僚議員が間に入って事なきを得たが、またもや危うきに…。「あの発言の真意を個人メールでもいいから聞かせてほしい」と高橋議員に告げようとしたら、目の端に照井の議員の影が。ニアミスで終わったが、もしタックルが決まっていたらとゾッとした。何しろ、この人は高校時代にラグビーで鍛えた鋼(はがね)の持主だからである。

 

 

<第2幕>

 

 「報酬説明会に参加しました。激しいやり取りの背後には茫々たる寂寞感だけが広がっていきました。80年前、シベリアの凍土に死した父親がまるで、手招きでもしているように…。この地球はいま、身の毛もよだつような“狂気”のただ中にあるように思います」―。私は親しい知人のFBにこんな投稿をし、疲れた体をベットに投げ出した。遅い目覚めを吹き飛ばすような文面に飛び起きた。20代男性は自らのFBに「報酬の増額に関する説明会に参加してきた」として、こう記していた。

 

 「どっちが暴◎団だよって、剣幕でしたね(苦笑)。市民説明会の名物なんでしょうかね。聞いてる側も慣れてないと結構、心削られるんでね、市民説明会系(市民からの意見・質問も聞くタイプの集まり)は覚悟して望(ママ)んだ方いいなと勉強になりました。女性とか若い人の立候補が少ないのは、ああいうパワハラ市民のせいだと思いました(お気持ち表明)。もっとね、高校生とか参加させて『うわっ』ってさせたほうが、教育には悪いけど牽制になるのかもしれない、逆効果かな。議員って大変なんだなあ」

 

 この若者の知人らしい、60台とみられる男性がこんなコメントを返していた。「アッハッハ…やっぱり、刺激が強かったかなぁ~?!まっ、場数を踏めば慣れますよ。お疲れ様でした。サラリーマンだと、上司のパワハラに耐える料がサラリーか…?!」―。FBによれば、この若者はいまや飛ぶ鳥を落とす勢いの「参政党」の支持者らしい。当然ながら、思想信条の自由は憲法に定められた基本的人権である。この投稿に接し、私はむしろガラス細工のような純粋無垢な若者を絶望の淵に追い落とした(私を含む)大人(政治)の責任を感じてしまった。

 

 その一方で、「暴◎団とかパワハラ市民」呼ばわりされた私に対し、それをたしなめるどころか逆に「アッハッハ」と下卑た高笑いを振りまく投稿には心底、怖気(おぞけ)が走った。他方では…「運のいいことに能登で地震があった。(珠洲=すず)たま、なんだっけ。能登半島の北の方」―。永田町界隈ではこんな発言をした国会議員が参院予算委員長の地位を追われた。そういえば、東日本大震災に際し「東北で良かった」と言って、首になった大臣もいた。「いつまでやってんのか」発言といかほどの違いがあるのか。

 

 “異論”を排除する排外主義が全国津々浦々を席巻(せっけん)しつつある。足元で浴びせられた“パワハラ市民”というアッと驚く表出…それが若者の口をついて出たことに私は大きなショックを受けた。その余りにも”あっけらかん”な口調に…。歴史家のトインビ―は「自国の歴史を忘れた民族は滅びると言った。かつて、ナチスドイツがホロコースト(ユダヤ人の大量虐殺)に走ったように、いま目の前ではガザ(パレスチナ人)に対して、逆ホロコーストが繰り広げられている。

 

 「物言えば、唇寒し」―。銀河宇宙の彼方から、宮沢賢治作詞作曲の「イーハトーブ狂騒曲」の調べが聞こえてきた。相手をおもんぱかることを意にも介さないこの種の人種たちには尻尾(しっぽ)を踏まれた側(トラ)の痛みは分からないのかもしれない。「虎の尾を踏む」とは、事態が危険水域に迫りつつあることを意味している。

 

 

 

 

<幕間解説>

 

・私は市民説明会の席で、徳島県南部の那賀町(人口6,302人)の報酬問題を例に取り上げた。同町の議員定数は14人。議員報酬は182,000円で、この20年間据え置かれたまま。今年6月定例会で、当市と同程度の106,600円アップの288,600円を提示した。5月中に町内12か所で説明会を開催したが、「いまこの物価高の中で…」という声が多く、議会側が結局、提案自体を取り下げた。

 

 一方、当市の説明会は7月9日、10日、13日の3日間でわずか計5回、来年4月からの実施を見込んでいる。なお、説明会への参加者は計26人で、東和会場はたったの1人。新図書館の立地場所に係る意見集約をするための「対話型」市民会議と同様、”民意”の反映からはほど遠いものだった。

 

 

・私は報酬アップのチェックポイントのひとつに議会の最高法規である「議会基本条例」の達成度を挙げた。同条例の16条は「議会は、本会議及び委員会における議案の審議及び審査にあたり結論を出す場合にあっては、合意形成に向けた自由討議等を通じて、議員相互間の議論を尽くすよう努めるものとする」と定めている。私は2023(令和5年)3月定例会にこの規定の実現方を陳情したが、反対多数で否決された経緯がある。今回のアップ案もその経過が分かる会議録は未公開のままで、当局側と同じ“密室”体質が浮き彫りになった。

 

 

・今回の報酬問題の是非を判断する直近のケーススタディとして、新図書館関連の予算審議がある。6月定例議会(6月10日)の採決では賛成16対反対8で、設計業務委託費などの予算が可決された。賛成討論をしたのは高橋議員ら2人で、「病院跡地」への立地を求める市民の側への誹謗中傷に終始した。反対討論をしたのは4人の議員で、ほどんどの議員は「駅前立地」への賛成理由を示さないまま、ゴーサインに手を挙げた。市民を二分したこの問題に対し、無言の行を通すのは議員の自殺行為に他ならない。

 

 

・議員報酬を「生活給」と誤解している向きが有権者だけでなく、議員の中にも見受けられる。しかし、議員の兼業禁止は「自治体との取引額が年間300万円以下であれば認められる」(2022年10月、地方自治法改正)——など緩和される傾向にある。逆に言えば、議員報酬は純粋に政治活動に当てられるべきものであり、だからこそ「議会基本条例」の達成度が不断から問われなければならない。ちなみに、岩手県の毎月勤労統計調査によれば、今年4月現在の県内全産業の平均給与額は264,984円である。

 

 

 

 

(写真はガラガラの説明会場。このまちの実態をさらけ出すような寒々とした光景である=7月9日夕、花巻市花城町のまなび学園で)

 

 

 

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将来は裁判も視野に…病院跡地への立地を求める市民団体が勉強会~世界に向けた署名もスタート!!??

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 「図書館問題から学ぶ市民運動」―と題した勉強会が猛暑の中の8日、新花巻図書館を考える会(山下牧子代表)ら署名活動を続けてきた三団体の主催で開かれた。もりおか法律事務所属の弁護士、小笠原基也さんが講師に招かれ、市側が新図書館の立地場所として「JR花巻駅前」に決定した経過を憲法や地方自治法、住民監査請求、住民訴訟などと照らし合わせながら、法的な背景を説明した。50人以上が参加し、「駅前立地の決め手になった対話型市民会議の数値には人為的な操作がある」などと発言した。

 

 これに対し、小笠原弁護士は「まず、裁判ありきではなく、立地に至るまでの経緯をつぶさに精査する必要がある」として、こう語った。「たとえば、ワークショップや市民説明会が単なる“アリバイ”づくりではなかったのか。黒塗りのいわゆる“のり弁”についてもきっと、裏に何かあるなと逆に想像力を働かせるとか…。とくに大事なのは予算議決など最終的な決定権を持つ議会側。一人ひとりの議員の質問チェックや居眠りチェックなどは欠かせない。しかし何といっても、最大の決定権を持つのは『選挙』という伝家の宝刀を有する市民の側なのだから…」

 

 「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。一方、市民運動側は七夕の7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」と話している。

 

 「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。

 

 

 私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振るって署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 

 

 

●オンライン署名の入り口は以下から

 

https://chng.it/khxdhyqLNS

 

 

●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ

・署名実行委員会ホームページ「学びの杜」 https://www4.hp-ez.com/hp/ma7biba

 

・ヒカリノミチ通信(増子義久)  https://samidare.jp/masuko/

 

・おいものブログ~カテゴリー「夢の新花巻図書館を目指して」   https://oimonosenaka.seesaa.net/ 

 

 

 

 

(写真は小笠原弁護士の話に聞き入る参加者たち=8日午前、花巻市桜町の花南振興センターで)

新図書館の「駅前立地」…背後にうごめく賢治利権の影~「利害共同体」の闇がさらに~「どうせ私をだますなら…」~そして、今度はパワハラ“騒動”で「助けてください」の悲鳴!!!???

  • 新図書館の「駅前立地」…背後にうごめく賢治利権の影~「利害共同体」の闇がさらに~「どうせ私をだますなら…」~そして、今度はパワハラ“騒動”で「助けてください」の悲鳴!!!???

 

 新花巻図書館が建設される予定のJR花巻駅前のスポーツ用品店跡地と目と鼻の先に9階建(地下1階)の建物が建っている。おなじみのホテル「グランシェール花巻」である。平成5(1993)年11月、当時の建設省(現国土交通省)が提唱した駅前開発事業「レインボープロジェクト」の一環として、オープンした。事業の推進母体は「(株)花巻レインボー開発」で、花巻商工会議所会頭などを歴任した故宮澤啓祐さんがそのトップの座にあった。あれから、30年―

 

 「目指すのは小さなイーハトーブ。宮澤賢治の世界観を紡ぎ続ける場所として」―。令和5(2023)年3月、同ホテルは賢治を模したメルヘンチックな雰囲気に姿を変えてリニュ-アルオ-プンした。経営を引き継いだのはホテル業界大手の「(株)リオ・ホ-ルディングス」(リオ・ホテルズ花巻)で、改修に当たっては市側が補助金申請した「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業」(観光庁)の補助金約5億円が充当された。

 

 当初は市街地で唯一の駅前ホテルという触れ込みだったが、その経営実態は決して順風満帆ではなかった。それどころか、登記簿などによると、同ホテルはオープンと同時に地方銀行や大手生命保険会社からざっと、30億円の融資(抵当権設定)を受けるなど難産のスタートを強いられた。車社会の到来と鉄道利用者の減少に加え、コロナ禍がこれに追い打ちをかけた。英領西インド諸島を本拠地とする外資系の債権者に一時、ホテルを差し押さえられるという事態も発生。競売の直前にメーンバンクがその債権を買い取って、窮地を脱するという出来事もあった。

 

 こんな中で浮上したのが新図書館の「駅前立地」構想である。JR側と市側とで駅前開発を協議した「まちづくり勉強会」の開示文書の中にこんなやり取りがある。「運営面を絞ってから考えたい。予想では上層階が図書、低層が多機能スペースかと。これらを一体で運営できる手法があるとよい。図書館が複合施設の出店者やホテルやなはんプラザとの連携(新しい事業開発)を誘発する存在になればと思う」(JR側、平成30年4月19日)、「図書館と複合の事業で周辺の価値を高めていきましょう、という趣旨。その分周辺の価格が上がり、税収もペイできるという理論構築につなげていければ良い」(市側、平成30年6月19日)

 

 新装なったホテルに足を踏み入れると、以前和食レストランだった場所には「宮沢賢治探検隊本部」の看板が掲げられ、賢治関連の秘蔵品などが並べられている。さらに、『銀河鉄道の夜』や『注文の多い料理店』を題材にした「銀河ルーム」や「山猫ルーム」などのコンセプトルーム、賢治が愛した鉱物から着想を得たという大浴場「ポクポクの湯」…。賢治の“ゆかり”を演出する仕掛けがあちこちにほどこされていた。一方、「リオ・ホ-ルディングス」のHPには「出会い」と題して、こんな文章(要旨)が載っている。

 

 「そんな中、宮澤様のメーンバンクからの紹介で、リオにホテルグランシェール花巻を一緒に運営してくれないかとご相談がありました。宮澤賢治ゆかりの地にあって、かつその親族が長く運営してきたホテルともあり、大変魅力的に感じたのは言うまでもありません。またご相談を受ける中で、花巻市長上田東一氏とも面会させていただくことに。そうして、グランシェール花巻を再生するだけでなく、駅前の立地を活かし、花巻の玄関口として駅前全体を元気にしたいというリオの想いを叶えるためのスタートを切ることができたのです。以後、花巻市もまじえ、宮澤家とタッグを組んで運営に取り組むことになりました」

 

 ずいぶんと分かりやすい構図ではないか。新図書館の駅前立地と駅橋上化という二大プロジェクトがもたらす波及効果はまず、周辺地価(土地評価額)の上昇という形をとって表面化する。このことはこの一帯の不動産所有者にとっては、固定資産税が増える一方で、その資産価値は逆に高まることを意味している。その点では浮沈の激しいホテル業界の運営にとっても「駅前立地」はある種の救済策だったとも言える。

 

 逆に言えば、「新図書館(市)×駅橋上化(JR)×ホテル(賢治“利権”=宮沢家)」―。この“三位一体”こそが上田市政のまちづくり構想を背後で支える「利権の構図」に他ならなかった。つまり、この3者の利害が一致するのは「駅前」以外にはあり得なかったということである。

 

 「花巻駅前も賢治作品『シグナルとシグナレス』の舞台であり、『銀河鉄道の夜』のモチーフとなった岩手軽便鉄道や花巻電鉄の駅があった場所で賢治ゆかりの地でもあります」―。「駅前立地」を正当化する理由として、菅野圭生涯学習部長は議員説明会(3月28日)で苦し紛れにこう述べている。賢治はあらゆる山野を渉猟(しょうりょう)し、それを作品に残した。この伝(でん)によると、その足跡の一つひとつが「ゆかりの地」ということになる。“こじつけ”もいいところである。

 

 これだけでは説得力がないということなのだろうか。市側はホテルの密閉空間にしつらえられた、もうひとつの「賢治ゆかり」の宣伝に余念がない。「駅前立地」へ誘導するための姑息(こそく)な“底意”が透けて見えてくる。装いを新にした賢治“利権”の登場を当の本人は銀河宇宙の果てから、どんな思いで眺めているだろうか。”利ザヤ”を稼ぐという阿漕(あこぎ)な家業(質屋)に終生、抗い続けたのが賢治自身だった。

 

 

 

 

 

(写真は「中ニ居リマス 賢治」と書かれた暖簾が下がった「宮沢賢治探検隊本部」の入り口=インターネット上に公開の写真から)

 

 

 

 

≪追記ー1≫~「利害共同体」という名の“四位一体”!!??

 

 表向きは“中立”の姿勢を見せながら、国政選挙などでは自民党候補者を公然と支持してきた上田東一市長の選挙戦でなぜ、社民党系の市議がその後援会の実行部隊を担ってきたのか―長年のナゾだったこの「奇妙な関係」が新図書館の駅前立地と駅橋上化事業によってその輪郭が少しずつ、見えてきた。

 

 その背後には「駅前開発」というこの巨大プロジェットがもたらす美味しい“果実”がたわわに実っているはずである。これに賢治“利権”が加わる形で産声を挙げたのが「利害共同体」という名の“三位一体”。いや、後援会事務局長の照井省三市議ら上田応援団の市議連中も含めれば、”四位一体”体制とも言える。世にも稀なる「イーハトーブ」政体の、これが出自の秘密…

 

 

 

≪追記―2≫~相当、テコ入れしたことが理解できますね!?

 

 「北野賢人」を名乗る方から、「以下のホテルグランシェールさんのホームページを見ると、行政とリオグランデさんとの蜜月関係(仲良く市長ほか関係者の皆様と写真に載っていますね)がよくわかりますね。(笑)」と興味深い画像の数々が送られてきた。以下のアドレスから、どうぞ

 

 

  https://www.rio-corp.co.jp/creation/collab04/

 

 

 

≪追記―3≫~行政の力

 

  「納税者」を名乗る方から、以下のようなコメントが届いた。花巻病院の“借金”肩代わり事件(財政支援)も結局は行政側の“失政”に起因するのではないか。監視役の議会側の力量も問われる昨今である。

 

 

 「花巻市のビッグプロジェクトに関った民間事業者はどうしてこうも巨額の負債を被るのか不思議です。レインボープロジェクトでは30億円の借金、昨年の民間病院の例では75億円の借金で、破綻しそうな法人を救うために市が5億円の公金を補助していたのももう旧聞に属するようです。5億円の支援も元をただすと国民、市民の収めた税金ですよね。失敗してもこんな風に取り繕うことができるのって、行政の力ってすごいものです。こういう力、違う方に使ってほしいものですが」

 

 

 

≪追記―4≫~あれっ、私を含めてたったの3人!!??

 

 「鳴り物入りの事業。さぞかし、参加者もいっぱいのはず」―。こんな期待を抱いて足を運んだ「花巻駅西口駅前広場整備案」に関する市民説明会(6月22日、まなび学園)だったが、市側の説明員である建設部職員4人に対し、参加者は私を含めてたったの3人だけ。説明資料の冒頭にはこんなことが。「駅橋上化(東西自由通路整備)により、西口利用が増えることが想定されることから…」

 

 「で、その目標値は?」と私。「乗降客を合わせて、1日ざっと6千人を見込んでいる。以前と同じ数値で今後、増える要素はない。高校生の利用増に期待したい。他の3か所の説明会も参加者はパラパラ」。少子高齢化時代の真っ只中でのトンチンカンな受け答えにあっけにとられた。「質問もなさそうですので、この辺で」―この間、20分足らず。

 

 西口開発の必要性を訴え、橋上化事業の“やらせ要請”の旗を振った上田市長後援会幹部の照井省三市議(社民クラブの姿が目の前を去来した。やはりそうだったんだ。JR花巻駅を舞台にした“四位一体”(花巻市×JR東日本×「賢治利権」(宮沢家)×照井議員を含めた腰巾着議員)…つまり「利害共同体」による「東西」“詐欺物語”(演目「頭隠して、尻隠さず」)の舞台もやっと、その幕を下ろそうとしている。ガッテン、ガッテン。「どうせ私を だますなら/死ぬまでだまして 欲しかった」…「東京ブルース」(西田佐知子)の一節が口元からこぼれた。他方の「上田×照井」コンビの方はさしずめ、「みちづれ」(牧村三枝子)といったところか…

 

 

 

≪追記―5≫~「だまされる側」の責任!!!???

 

 「イーハトーブ“図書館”戦争」と名づけた、5年有余にわたった攻防戦もやっと終結の時を迎えつつあるようである。「敗軍の将、兵を語らず」とは言えども、ひと言だけお許しを願いたい。80年前の敗戦の翌年、映画監督の伊丹万作は「だますものだけでは戦争は起らない。だますものとだまされるものとがそろわなければ戦争は起らない」として、こう喝破した。

 

 「だまされたものの罪は、ただ単にだまされたという事実そのものの中にあるのではなく、あんなにも造作なくだまされるほど批判力を失い、思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになつてしまつていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体なのである」(「戦争責任者の問題」)―。愚民化されたいま現在の”イーハトーブ”市民とどこか、重ならないか。今般の”戦争”もこの二原則が相まって、勃発したのだった。ガッテン、ガッテン…

 

 

 

≪追記―6≫~パワハラはここにも

 

 「スポーツ愛好家」を名乗る方から以下のようなコメントが寄せられた。なんだか、イーハトーブ全体にイヤ~ナ空気が漂いつつある。「真夏の夜の夢」にならないことを祈る。

 

 

 花巻市スポーツ協会事務局長のパワハラが横行しています。「あんな奴らには給料を払う必要がない」、「お前は暇なんだから休みなんかいらないだろ」、「子供がいないんだから残業しろ」等々の暴言が幾度となく発せられています。小さい組織ですので、被害者が特定されやすく声をあげることができません。抜き打ちで調査に入ってほしいです…

 

 

 

≪追記―7≫~後出しジャンケン

 

 「宮沢賢治出身地ならではの図書館に」―。7月1日付の「広報はなまき」に特だしのこんな見出しが躍っていた。最近、新図書館をめぐって「賢治、ケンジ」の大合唱がかまびすしいが、実は「整備基本計画」のたたき台を話し合う「新花巻図書館整備基本計画試案検討会議」にこの件が持ち出されたのは会議の発足から約2年半年後の令和5年11月24日開催の第13回目になってから。

 

 この時に初めて「賢治コーナ―」の設置が公にされたが、実は「出身地ならでは…」の言い出しっぺは病院跡地への立地を求めていた市民運動の側だった。“良いとこ取り”に言いがかりをつける気持ちはさらさらないが、是非とも“口先”だけで終わらないように…。一事が万事…図書館に関する発想は”立地”論争に限らず、いつも主客転倒の逆さまぶりだけが目立っていた。「図書館」王道論をを忘れた、要するに”利権”が先行した当然の帰結である。

 

 

 

 

≪追記―8≫~助けてください

 

 「スポーツ愛好家」を名乗る方から、「助けてください」という悲痛な声とともに≪追記―6≫に関連する以下のような長文のコメントが届いた。岩手県労働委員会事務局から「匿名様」に宛てた回答書の形をとっているが、「パワハラ」事案に対する的を得た対応と考え、“隠れパワハラ”への警鐘として、以下に全文を転載する。それにしても、生涯学習部にかかる案件に何と「好事魔多し」ことよ。

 

 

 「匿名様」。岩手県労働委員会事務局です。労働相談いただきました内容について、回答させていただきます。

 

1、パワハラ行為について

~パワハラとは、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①~③をすべて満たすものであると定義されています。当該事務局長の言動(暴言)については、パワハラの典型的な類型の一つであり、パワハラに該当する可能性があります。

 

2、パワハラに対する指導について

~労働施策総合推進法では、使用者に対して職場のパワハラ対策の義務を課しており、使用者は職場でパワハラがあった場合、事実関係を速やかに把握し、必要な措置を講じなければいけないとされています(同法30条の2)。使用者は社内にパワハラに係る相談窓口を設置し、相談体制を整備する必要があります。

 

 しかしながら、今回の事案では、法人の事務方のトップである事務局長がパワハラ行為を行っており、法人内で解決するのが困難な事案であると思われます。まずは理事にも加わっている花巻市生涯学習部スポーツ振興課に、花巻市スポーツ協会の全職員に対する「特命でのハラスメントアンケート」の実施を依頼してみてはいかがでしょうか。

 

 法人側にパワハラ行為への対応をしてもらえない場合、使用者への助言・指導の権限を持つ外部機関である岩手労働局「雇用環境・均等室」に申出を行い、使用者への指導を求めることが可能です。なお、申出を行う際には、相手からパワハラ行為を受けた日時、場所、具体的なやり取り、周囲の状況等を、書面(メモ等)や録音等の方法によりに証拠として残しておくことをお勧めします。