【仕事のススメ】6回目『労働の対価』

労働基準法の第11条に「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」とあるけど、働くことで得られるものはお金だけ?

▼Aさんは職場結婚
 私が16年半勤めていた会社にはたくさん職場結婚した方々がいました。総務課の先輩のAさんもその一人です。部長まで務め、子会社に移ってからは常務までなって、いまはマレーシアに移住して、悠々自適の生活を送っていらっしゃる方です。好奇心旺盛なAさんは働きながら社会保険労務士の資格をとったり、セミナーがあると会社のお金でちゃっかり勉強していました(もちろん、会社の仕事にも立派に役立ててましたよ)。また九州生まれのAさんはお酒も好きで、週末ともなれば仲間とワイワイやったり、桜の時期になると鎌倉近くの自宅に私たちを招いてくれて楽しい一時を過ごしました。今ではいい思い出です。
 よく考えてみると、このAさん、仕事を通じて得たモノはお金だけでありませんよね。能力、資格、仲間はもちろんのこと、人生の伴侶である奥さんまでも仕事を通じて手に入れたことになりませんか!

▼人間の欲求!
 人間にはさまざまな欲求(○○したいという気持ち)があります。有名なのは「マズローの欲求5段階説」。図解を参考に簡単に説明しますね。

 マズローおじさんは人間を詳しく観察して「人間の欲求は5段階のピラミッド構造だ」と考えました。一番下には「生存の欲求」、次に「安全の欲求」、そして「仲間作りの欲求」、「賞賛の欲求」、てっぺんには「自己実現の欲求」があると。一番下の欲求が満たされると、山登りするように順番に次々と上の欲求へと心が向かうのだそうです。

▼進化と欲求
 原始の昔、人間は狩猟生活をしてました。外的から身を守るため森の木の上で生活してたそうです。でも、食料を得るためには他の野獣に襲われる危険をおかしても狩りに出なければなりませんでした(生存の欲求)。そこで人間は野獣や雨風、寒さから身を守るため、洞穴に住んだり、竪穴式住居で生活するようになりました(安全の欲求)。時代は下り、狩猟生活から放牧や農業をはじめるようになった人間はムラをつくりました(仲間作りの欲求)。ムラで良く働く人はたくさんの収入を得、リーダーになって地位や名誉を得ます(賞賛の欲求)。さらには、人生経験を積み、智恵深くなった人は自分の才能を見つめ、創造性を発揮して、新しい道具や社会制度や物語をつくったりすることになります(自己実現の欲求)。こうして人間は段々と進化を続けて来たように思います。ところで、あなたは今どの段階!?

 ここまで読み進めていただければ分かるように、「ムラ」は現代でいうと「会社」です。そしてそこでする仕事を通じて、人間の欲しいものほとんど全てが手にはいることが分かっていただけたでしょうか。あなたの考え方と働き方しだいで。

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TanQ(アイン企画発行)
Vol.14(2006年10月号)に掲載

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