【仕事のススメ】10回目『ついつい紹介したくなる人』

私の仕事は人材コンサルタント。企業からお金をもらって技術者や経営幹部を紹介する。ときにヘッドハンターなどとも呼ばれる。そんな私が「思わず企業へ紹介したくなっちゃう人」の共通点を探ってみた。


▼人材コンサルタントという仕事
人材派遣(正確には労働者派遣事業)という仕事は世の中でも一般的になってきてますよね。皆さんご存知なんだと思います。でも、人材紹介(正確には有料職業紹介事業)という仕事はきっとなじみが薄いのではないでしょうか。求職者を正社員採用を前提に企業に紹介・斡旋する仕事です。有料という文字を見て「仕事を紹介してもらうのにお金とられんの?」と勘違いする方も多いようですが、個人からお金をいただくことはありません。紹介が成立したとき(入社したら)、紹介先の企業から紹介手数料をいただくことで事業が成り立ってます。
企業からお金をいただくので、どんな職種でもご紹介できる訳ではありません。技術職の方、医療系の資格を持った方、管理職の方々が中心です。「よい人材を紹介してくれる」ということでだんだんと利用していただける機会も増えてきました。
そんな仕事をして6年になる私が、ついつい紹介したくなる人材の共通点を探ってみました。

▼紹介したくなる人の条件
企業からお金をいただいて紹介する訳ですから、即戦力の方が対象になります。また、対象になる職種も限られます。(詳しくは注1.参照)それぞれの専門分野の技術・知識・経験を持っていることはもちろんですが、それだけでは十分と言えません。一言でいうと人柄となってしまうのですが、「偶然の出来事をチャンス!ととらえ、ものにしてしまう人間力」って言うことになるのかな。

▼プランド・ハプンスタンス理論
 聞きなれない言葉だが”Planned Happenstance Theory”という考え方があります。日本語訳すると「計画された偶然」理論ということになるようです。これは私がキャリアカウンセラーの勉強をして出会った考え方です。「転職は縁とタイミング」と言いますが、まさに裏付けるのがプランド・ハプンスタンス理論のような気がします。
 すこし、中身について説明しましょう。簡単に言うと「仕事は、偶然の出来事や出会いなどによって決まっていくことが多い。でも、その偶然の出来事は、本人がそれとは意識しないで行っていたことが種まきとなって必然的に生じている」という考え方だ。
一見、「行き当たりばったり」と混同されそうだが、まったく異なる。「行き当たりばったり」は、何もしないで、ただなにかがやって来るのを待っている受身の状態。それに対して偶然をチャンスに変えられる人は、常日頃からアンテナを高く張り、かなり広い範囲からの情報をつかみ、それを逃さずに捕らえられる能力に優れている能動的な状態にある。前者が「寝ぼけた状態」なら、後者は「目覚めた状態」と言えよう。

▼偶然を生かす能力
 偶然の出来事や出会いを自分のものにする(必然に変える)能力の高い人は次のような5つの特徴を持っているような気がします。
 ①好奇心 ②粘り強さ ③柔軟性 ④楽観性 ⑤リスクテイク
 ここまで読めばお分かりだと思いますが、「ついつい紹介したくなる人」の特徴は転職がうまく行く条件に限ったことではありません。企業の中で新しい価値を創り出してくれる人、つまり、企業を成長させてくれる力のあるキーパーソンに共通した資質と言えますよね。
 この偶然を生かす5つの能力を高めて、一人ひとりが豊かな人生を切り開いていきたいものです。


注1.当社の紹介可能職種:
 ○専門的・技術的職業(電子回路、機械設計、光学設計、ソフト開発、半導体プロセスエンジニア、建築士、医師、看護師、薬剤師、OT、PT等)
 ○管理的職業(品質管理、生産管理、購買、総務人事、経理等)
 ▼求職登録は下記ホームページにて
  株式会社キャリアクリエイト

注2.プランド・ハプンスタンス理論の説明については『遇キャリ。』所由紀著(経済界)を参考にさせていただきました。

以上

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TanQ(アイン企画発行)
Vol.17(2007年2月号)に掲載

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