【仕事のススメ】第4回『資格取得と就職』

ドラッグストアやディスカウントストアで薬コーナーに白布やチェーンがかかって、「薬剤師が不在のため、現在薬の販売ができません。」という表示を目にしたことはありませんか?

山形県内では医薬分業や名義貸しの禁止により、薬剤師が不足しています。しょっちゅう、新聞の求人欄や求人広告で薬剤師の募集を見かけます。とにかく薬剤師資格さえあれば、ほぼ100%、間違いなく再就職可能です。それも結構な高給で。
資格があれば必ず再就職出来て、さらに給料も高い。さて、そんな資格は他にもあるのでしょうか・・・

失業すると考える資格取得
 「失業したんだから、この機会にとりあえず資格でも取るか」と考える方は多いようです。
 男女に共通して人気の資格は、MOUS(パソコン)、ヘルパー2級。さらに、男性なら大型免許、女性なら医療事務。
 取得期間は短いもので1ヶ月。平均でも2~3ヶ月。ながければ半年近くかかります。資格取得にかかるお金も、運良くハローワークの職業訓練を受講できれば安価ですみますが、一般のコースをうければ20~30万円は必要です。
 冷静に考えると、資格取得には膨大な時間と結構なお金がかかるものなんです。

せっかく苦労して取った資格だが・・
 労力とお金をつぎ込んで、やっと取得した資格が再就職にどれくらい役に立っているのでしょう。
 私が再就職をサポートした方々の実績を見ると、取得した資格と関係のある仕事に就いた方の割合はゼロとは言いませんが、決して高いものではありません。この原因を大別すると3つ。
1. よく考えるとその資格に関係する仕事に元々本気で就こうとは思っていなかった。
2. 資格関連の仕事の求人がほとんどない。または競争率が高い。
3. 資格関連の仕事についても自分の家計を支えるだけの収入が得られない。

 資格が再就職に役立たないばかりか、マイナスに作用するケースもあります。資格取得で勉強している期間はどうしても再就職活動はおろそかになりがち、ついつい失業してから3~4ヶ月たって、初めて求人に応募したなんていう人も出てきます。
 面接では、「会社辞めたから何しったけの?」と、再就職への意欲が問われます
「ハイ、医療事務の勉強をしてました」と応えると、「うちはお菓子屋だよ、医療事務関係ないよ」なんて言われたりします。

資格取得はすべて無駄!?
 そんなことは決してありません。ようは自分がこれからつこうとしている仕事に必要となる資格かどうかがポイントです。長い目でみれば、何を勉強しても人生の無駄にはなりません。しかし、再就職という目的に照らして考えてみると時間とお金を無駄にするばかりか、障害にもなりかねません。
 前述のお菓子屋さんでの面談にもあるように、「長い期間、仕事を離れている」「働く意欲に欠けるのではないか」「あまり先を考えないで行動する人かもしれない」とマイナス評価されかねません。

 トラックの運転の仕事に就きたい、と思ったら大型免許を取ることは絶対条件です。パソコンを使う仕事にどうしても就きたいがパソコンを使った経験がないのでは話になりません。せめて、ワード、エクセルくらいはどうしても必要です。
 でも、「将来、大型免許もあったほうが有利かもしれない。」とか「家にパソコンがあるけど使ったことがないから、この機会にちょっと勉強したい。」と、いった軽い気持ちで資格取得に手を出すと、再就職が逆に難しくなってしまいます。
 なぜなら、どこの会社の経営者も「やる気のある人」を欲しがっているから。心ならずも退職したら、次の仕事を必死に探すような人が欲しいのです。

 次の仕事に就くために直結する資格取得だったら、必ずやってください。でも、「せっかくの機会だから」とか「とりあえず資格取得でも」と考えているようでしたら、ハローワークの職業訓練で無料で受講できるとしても、良く考えてみることをお奨めします。

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TanQ(アイン企画発行)
Vol.11(2006年8月号)に掲載

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