前職の社訓にたしか「創意工夫」ってあったような気がした。
気になったのはドラッカーの『現代の経営』を読んでいてイノベーションについて考えていたときである。
たしか5つあったよなぁ、何番目だったかなぁ、、、
と、思ってネットで検索してみた。ちゃんと分かるんですね。びっくり、3番目でした。
創意工夫の説明はこんな風に書いてある。
「一、我々は創意工夫を重んじ技術の開拓と業務の熟達に努力する。」
当時は、電子部品メーカーだから当然、技術のことをいってんだなと思っていた。
改めて読み直して、指し示す意味はずっと広かったことに気づいた。
ドラッカーのいうところのイノベーションに相当するものだろう。
ドラッカーはイノベーションを単に「技術革新」を言っているのではない。「より優れた、より経済的な財やサービスを創造すること」、つまり新たな経済価値の創造はすべてイノベーションということになろう。
今日、卑近な例を目にした。それが冒頭の写真である。
自宅から歩いて山形駅に向かう道すがら、「軽専用」の駐車場を発見。
ここには技術革新はない。
すでにコイン駐車場は世の中に一杯あるわけだし。
たったひとつの違いは「軽専用」ということだけ。
写真をようくご覧いただくと分かるが、車の前方に消された白線の跡が見えるのである。きっともともとは普通車も入れる駐車場だったのだろう。
実はこの駐車場、奥行きは深いが横幅が狭い。
普通車を入れて入れられないことはないのだが、何度か切り返ししないと入れない。きっと、駐めづらくドライバーに敬遠されがちな駐車場だったのだろう。
中に入ってみたら、駐車スペース一区画あたりのタテの長さを90cmくらい短くし、横幅も30cm位狭くしている。
いろん工夫が読み取れるのである。
長さを短くすることで、枠内に収めようとする心理が働き、整然と駐車するようになる。普通車のままの区画にしていれば、きっと前列がきちんと揃わないだろう。その結果、カンチャンずっぽし(麻雀用語。2台の車の真ん中)に駐車するときには駐車しづらくなる恐れがある。
隣の車がちょっと出っぱって駐めていたりしたら、相当に駐めづらい。
空いているのに止められない区画もあったのではなかろうか。
また、料金を1日、350円に設定しているのも考えているなぁと思った。
このあたりでは、普通車が駐めやすい駐車場で10時間500円というところがある。
150円の価格差は多少駐めづらさを感じても十分に価格競争力があるように思う。
実際ぎっしり満車だった。しかも整然と。
ざっと20台の駐車スペースだが、普通車区画のときよりも横幅を30cm狭くしているので2~3台分は増えているはずである。
なにしろ「軽専用 1日 350円」の表示は軽自動車の運転手へのアテンションはバッチリ。
ベンツのとなりに軽自動車を駐車するのも、なんとなく引け目に感じたりするしね。
幅が狭いという弱点(ボトルネック)を、軽専用にすることにより強みに変えたわけだ。
これをイノベーションと言わず、なんと言おう!
すばらしいなぁ。
ちなみに、前職(アルプス電気)の社訓を転載させていただくと。
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親和と質実
一、我々は親和を第一とし質実剛健の気風を尚ぶ。
社会奉仕
一、我々は品位ある製品を作り常に社会に奉仕することを忘れない。
創意工夫
一、我々は創意工夫を重んじ技術の開拓と業務の熟達に努力する。
信用の蓄積
一、我々は強い責任感を以って職責を全うし信用の蓄積を計る。
健康と家庭
一、我々は常に健康に留意し健全なる家庭を築き社業に全力を尽くす。
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すばらしいなぁ。
アルプス電気さんのお陰で、今の自分があります。
感謝感謝です。
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