先日、仙台七夕の裏方のドン、鳴海屋紙商事㈱ 営業部部長の鳴海幸一郎さんのお話を伺う
機会をいただきました。
仙台人にとっては、鳴海屋と言えば七夕、とすぐイメージできるほどの会社ですが、
実は、かつては㈱鳴海屋紙店という名前の会社でした。
鳴海さんはこの伝統ある会社の一人息子として家業を継ぎ、仙台七夕を支え続けています。
経営継続の都合上、現在のスタイルに収まり、名を捨て実を取ったということでした。
お話のテーマは 「 仙台七夕の歴史 」と「 まつりの裏方 」
こういう話はもしかしたら鳴海さん以外の人でもできると思いますが、鳴海さんほど
熱く情熱を込めて語れる人はいないでしょう。仙台七夕を心から愛し、その裏方を支える
仕事にひたむきに向き合っていらっしゃることがハッキリ伝わってきました。
実は、お恥ずかしながら、仙台に生まれ育っておりながら、初めて聞くような話が
たくさんありました。これまでも聞いたとしても、左の耳から右の耳へ、スーッと
抜けていったのかもしれません。
そもそも七夕は、中国の乞巧奠(きこうでん)という星祭りに由来します。
織姫と彦星の話は皆さんご存知だと思いますので省略しますが、中国から台湾を経て、
京都に入ったのです。そして、もちろん日本固有の信仰と絡み発展してきたのです。
今でも、冷泉家という藤原道長の流れを引く公家の家で、その古式ゆかしき伝統が
守られているそうです。
それがいつどのように仙台に来たか、というと、なんと、400年前。
我らが伊達政宗公が京都上洛の折、これは良いものだ、と持ち帰って始まったそうです。
さて、七夕の七つ道具をご存知でしょうか?
吹き流し、折り鶴、短冊、紙の着物、投網、屑かご、巾着、の7つです。
この中で、日本らしいなぁ、と思ったのは屑かご。他の国でこういうのが7つのうちの
1つに取り上げられることはないでしょう。
中に、七夕の飾りを作って出た紙屑を入れてつるし、物を粗末にしないこと、整理整頓、
清潔の心を教えているのです。実にいいじゃありませんか。
では、七夕と仙台七夕は何がどう違うのか?
仙台七夕は、吹き流しの上にくす玉があるのが特徴なのだそうです。
仙台人なら森天佑堂をご存知だと思いますが、その旦那様が、戦後の復興を願って、
くす玉を作って掲げたのが定着したのだそうです。
現在は、平塚の七夕も仙台との交流の中で、それを取り入れるようになったため、
ハッキリした違いはなくなっているようですが。
この他に、設営撤去についての裏話やら、小学生の8万個の折り鶴飾りほか、
七夕祭りをじっくり味わうに十分過ぎるほどのお話を伺いました。