日本は法治国家なので、「法の下の平等」というのは馴染みのある言葉だと思います。
では、古代ニッポンはどうだったか?
故・渡辺昇一氏は「和歌の下の平等」という表現をしていました。
万葉集でも、天皇や貴族の句と並んで、乞食や娼婦、詠み人知らずなど、内容さえ
良ければ、その人の身分は関係なく掲載しているところは、まさにそのとおりと言えます。
これに倣って、私の体験から感じてきた東北を表す言葉をご紹介します。
それは「雪の下の平等」です。
携帯電話の普及と交通網の整備、除雪体制の充実によって、今は通用しない話ですが、
20年くらい前までは、まさにこの言葉どおりの東北でした。
大雪により、お客様との約束の時間に間に合わなかったことがしばしばありました。
携帯電話もないので、公衆電話を探すのですが、山道だとそれもなく、やっとあった!
と思うと、降りしきる雪の中、何人かが10円玉をたくさん握りしめて待っている。
そんな風景がよくありました。
やっとの思いで電話をかけ謝ると、「しょうがないよ、気をつけて来てね」と優しく
いたわりの声をかけてくださいました。本当は予測してもっともっと早く出発するべき
なのですが、怒られたことは一度もありませんでした。
それどころか、「こんな大雪の中、よく来たね」と言って、普段よりもたくさんの注文を
いただいたりしたものでした。
寒いけどあったかい東北。「雪の下の平等」は確かに存在していました。
私が東北をこよなく愛する理由の1つです。
壱岐産業は東北の元気を応援しています。
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