今回は、まぼろしの縄文遺跡についてお届けいたします。
その遺跡は、国道13号南陽バイパス建設にともなう昭和60年(1985)より62年(1987)までの発掘調査によって発見されました。出土地は高畠町大字深沼押出(おんだし)で、置賜盆地北部の白竜湖に連なる低湿地であり、東より流下する屋代川と北から流れる吉野川の合流点が形成する自然堤防の後背湿地にあたり標高211.5メートルにあります。この遺跡は縄文前期後葉の遺跡で、今から5800年以前であるとわかりました。ここから出土したものは、国指定の重要文化財となっており現物は高畠町の考古資料館に保管してあります。
指定になっているのは、彩漆土器で完形のものが6個で、他に残欠のものが四個分あります。
内赤漆のみの土器が4個になります。その中でも、最も重要な土器は、高さ14.5センチ直径23センチで、体部が優美な丸味をおび、口縁のまわりには小さな孔がめぐる。底は丸底で、そのままでは立たない形状をしています。それは、赤漆を地に黒漆で文様が描かかれているものあり、本体部の上半と下半に区切られ、渦巻文を四ヵ所に配し、それから弧状や三角状の文様がひろがる。同時期の土器の文様構成に共通するものであります。
なぜ幻の縄文遺跡かといいますと、この遺跡は、湿地帯の下2メートルに埋もれていたもので、縄文集落が天候異変の洪水のため埋もれてしまい消滅してしまった遺跡だということから『幻の縄文遺跡』と言われています。国道の工事がなかったら発見されないままに終わった可能性があります。この遺跡からは信じられない物が数々出土しています。
◆高畠の歴史 011号 ◆
2013.05.07:toda:[◆高畠の歴史・東北の歴史◆]
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