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【2013/05/10 毎日フォーラム】発信:塩田秀雄・山形県南陽市長

◇縮小均衡から調和のとれた発展へ

◇多面的機能を持つ新文化会館に着手

 失われた10年ともいわれた長い低迷から抜け出せないままさらに10年がたち、ようやく小さな明かりが見え始めたように思えます。この間、民間では、乾いた雑巾を絞るがごとき節減やリストラ、そして過度な価格競争が続けられてきました。一つ一つの企業にあっては生き延びる戦略として正しくても、多くが同時に行えば好ましくない結果を招く、いわゆる「合成の誤謬」です。それは自治体にあっても同じで、縮小均衡に向かわざるを得ない状況がずっと続いてきました。

 時間が過ぎてからでは取り戻せない政策課題はいくつもあります。その中でも、受ける影響が特に大きいのは子育ての分野です。厳しい財政事情の中にあっても「子育て支援都市宣言」の下、出産祝い事業や子育て住宅支援、学童保育の拡充、耐震化100%の学校施設整備など、子供たちが育つ環境を整える事業を最優先に進めてきました。

 また、市民の心を一つにして、郷土に誇りを持っていただくために、駅伝への積極的なかかわりを重視してきました。昨年は、山形県縦断駅伝競走で完全優勝を果たしました。市役所陸上部は、実業団駅伝の最高峰といわれる元日の「ニューイヤー駅伝」出場を目指し日々練習に励んでいます。

 当市の第5次総合計画の第1番に掲げる政策目標である「教育日本一のまちづくり」に大きく前進しつつも、あとひと押しインパクトのある事業が欲しいと考えてきました。

 平成24(12)年度も押し迫った3月末、総額45億円にのぼる新文化会館整備のための補正予算が成立しました。構想を発表してからおよそ1年。市議会や公募による委員を含む市民懇話会で大いに議論していただき、市民に夢を持っていただく「シティプロモーション」の重要性の理解にようやく到達したと感じています。

 新文化会館は、全国初の大型木造耐火建築物(集会所)として先駆性をなし、バイオマスエネルギー利用による環境への配慮、森林資源活用を通して、地域林業の振興と森林の持つ多面的機能を最高度に高めています。また、防災機能を併せ持つ施設ともなります。縮小均衡から調和のとれた発展への転換、近隣市町への波及効果で、みんながよくなる施策の基盤となり得るものです。

 市民が夢を持ち誇れる施設、郷土愛のよりどころともなる新文化会館は、平成27(15)年秋に完成予定です。ぜひおいでください。






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