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【2012/6/24 山形新聞】【南陽】蚕糸の歴史伝える新事業スタート 飼育体験など展開
 養蚕、製糸業で栄えた地域の歴史を後世に伝える「まゆの里事業」が南陽市でスタートした。同市漆山の夕鶴の里を活動拠点とする団体、市で構成する推進会議(会長・川合ひさ子夕鶴の里運営協議会委員長)が今月発足。県蚕糸業会(山形市)の協力を得て▽蚕の飼育▽染め織り体験▽養蚕、製糸関連資料のデータベース化−の3事業を軸に展開する。
 蚕飼育事業では蚕30〜60匹を市内の保育園・児童館・幼稚園5カ所と夕鶴の里にそれぞれ配布し、繭になるまでの約3週間、各施設で飼育・観察してもらう。蚕は12日に運び込まれた。園児たちは蚕を興味津々でのぞき込み「かわいいね」「大切にするよ」などと話していた。
 染め織り体験事業は大人を対象に▽飼育▽繭糸を染める▽真綿から糸にして染める▽卓上手織り機で織る−作業を体験。8月まで4回を予定し、参加者を20人程度募集する。データベース化事業では夕鶴の里に展示・収蔵されている「養蚕」「繰糸」「織り」「製糸業」などに関する貴重な民俗資料を1点ずつ写真撮影、実測し記録に残していく。
 同市宮内・漆山地区は「羽前エキストラ」の名で知られた世界最高級の品質の生糸を生産するなど、明治から昭和期にかけて製糸業で栄えた。夕鶴の里資料館の建物は、製糸工場の敷地内で使われていた繭蔵を利用してつくられ、養蚕、製糸関係の資料が多数収蔵・展示されている。

蚕を興味深げに観察する子どもたち=南陽市こばと保育園