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率先垂範する

 リーダーというのは自ら先頭を切って仕事をすることが大切です。

 一般には、総大将は全軍の後方にあって全体を把握することが正しいと考えられてきました。トップはどこにいることが正しいのか、私にとって、それは最初からずっと問題であり疑問でした。

 トップは大局を見誤ってはいけない。経理の問題、教育の問題、人事の問題、総務の問題、技術の問題、工場の問題、営業の問題など広く見渡して、全てに的確な判断を下し、指示を与えていかなければならないのが社長です。

 そのためにトップは、全体が見渡せるような高い丘のようなところへ登って、そこから全軍を見て指揮を執っていくというのが正しいはずだというのが、一般のリーダー論にあるわけです。

 私は、どうもそのことに納得がいきませんでした。前線で兵と苦楽を共にし、叱咤激励するのも真理なら、後方にいて全軍を見渡して指揮するのも真理、どちらかに偏っていいわけではないのだな。それなら自分は社員と苦楽を共にしようと考えました。

 しかし、いつも前線ばかりいたのでは全体を見誤りますから、全体を見渡すことも忘れないように臨機応変に対応してきました。

 実際には、自分が苦労したくないから後方にいるとういう言い訳にしているケースがあまりに多く見受けられます。社長だけでなく、リーダーにとって一番大切なことは率先垂範するということです。