12月27日、高畠町二井宿大社(おおやしろ)神社の獅子頭拝見に訪れた。
10時より大祓のご祈祷が行なわれるので、その前だと獅子頭を拝見出来るとの事だった。
今日も吹雪が続き、車のハンドルが取られ視界も暫しホワイトアウトするのでヒヤヒヤだが雲が
切れて日射しがあるので救われる。
到着10時30分神社到着の予定だったが遅れてしまった。駐車場には既に神社総代の方の車が
並んでいた。
鈴を鳴らし参拝する。予定外の誰かが来た事をお知らせする意味もある。
拝殿の裏の蔵の引き戸のような木製の扉を少し開けると、囲炉裏を囲んで7・8人の関係者が暖を
取って待っていた。
宮司さんからは話は伝わっているような、いない様な雰囲気なので趣旨を
説明すると獅子頭の元に案内して戴いた。
獅子箱というより社(やしろ)型のものに保管されていた。
一見して徒者でない雰囲気が伝わってくる獅子頭だ。
宮司さんから神殿建築の宮大工は地元出身の名工 戸田半七の作ということを聞いていたので
身構えてきた。まさに逸品の獅子頭!
以前取材した近くの金原 玉竜院の獅子頭とはまた様式が異なり、いわば白鷹町の鮎貝系の形と見え
た。
ただ脳天に石川県氷見や金沢系の獅子に見られるタケノコの様な角、タテガミが付いてある。
鮎貝系は百毫か宝珠、不動明王の頂蓮を表す、ボタン状のコブが付いている違いだけて実に似て
いるのだ。
眉の巻き毛は以前制作した西高玉稲荷の昼祭の大きな獅子頭の眉に酷似している。
また額の三ヶ所のシワ目の縁の溝、唇のライン、特に鼻の造形表現が似ていて、朱に塗り替えれば
白鷹で舞っても全然違和感は感じられない獅子頭だ。
ご覧のように珍しいあまり見ない漆塗りが施されている。朱溜(ため)塗りの下に金箔片が不規則に
散りばめられ微妙な光り具合を放っている。
同町深沼の八坂神社や宮内熊野神社の本獅子も同じような塗りを用いている。
宮内熊野の本獅子は一見して黒に見えるが、近くで目を凝らしてみると、うっすら金箔片が見
えるのが解る。
口を開くと舌は塗り替えられて修理したようだった。
内部頭部裏を赤外線カメラで撮影すると、不確かだが何か書かれている様子があった。
残念ながら制作年代、作者不明であった。
眼をよく見ると、飴状の漆が透けて二重の輪の中に黒い円が見える。最初は修正されたものか
後から直したのだろうか・・・?
見れば見るほど美しく形の洗練された造形に魅入ってしまう獅子頭である。
大社神社の例祭は春と夏と秋、大祓、元日等行なわれ、幣殿に神輿渡行や行列の役割の写真等も
展示されていた。神殿の彫刻や白木の神輿の装飾彫刻、神殿の鏡の雲形台も半七の作と伝えられてい
る。
獅子頭の作者については、今後の調査研究で解明出来る様を願っている。
さて、いよいよ押し迫ってきたが年の暮れでも獅子頭拝見はまだ続き、チャンスなのだ。
30日に同町金原の熊の前地区の熊野神社の獅子頭を拝見する予定でもある。
元旦には高畠町小其塚の稲荷神社、村山では山ノ内大鳥居神楽が毎年元旦に神楽公演を行なっている
ので気になる所である。三日には上野神楽が上演される。
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