米沢の南部、李山(すももやま)の丹南集落の上李山上組公民館に訪れた。
近くの丹南神社の境内には最近トトロの森で話題の大きな樹木がそびえている。
公民館で獅子踊りの獅子頭三頭や、大太鼓、締太鼓、獅子の腰に付ける小太鼓を拝見する。
集落の長老(90才)に聞いても梓山や綱木の獅子踊りのような獅子踊りは、この地区で見た事が無
いという。途絶えてからかなり経っているようだ。
ただ現在9月1日の風祭で、子供達が獅子を被って厄よけに集落を回る。
最後に公民館に戻り、参加者の頭を噛んで終了する行事があり、伝統となっている。
バラバラに分解された桶太鼓の記名には嘉永六年とあり御太鼓師 藤邑屋 京助とあり、もう一つ
の破れ太鼓にも同じような記名があった。
合わせて三台もの締太鼓が有り、獅子踊りが盛んな頃を彷彿させる。
獅子巡りの際、こちらの破れた締太鼓の穴に賽銭やご祝儀を入れて運ぶのだという。破れ太鼓も
こういう使い方があるとは面白い。
獅子頭は20年前に会津に塗り替えに出したので真新しい。
この獅子頭の特徴は、綱木や小松、長井のに見られる様式だが顎が固定されてなく開閉が出来る
事が興味深い。
古い竹製の被り物のパーツを見ると小振りなので、飯豊の中(なか)の獅子踊りと
同様に子供達が演じていたのかもしれない。
そして獅子頭の箱と思われる木箱の蓋には 正徳貳(ニ)年(1712)七月吉日とあり305年前と
かなり古い。但しこの記名には難読な文字が多数で、いま勉強中である。
風祭では宮司や僧侶を呼ばず祭を行っているという。
獅子踊りは大抵、寺が関わっているので、近くの宝善寺を取材してみたい。
公民館の鴨居には風祭の写真が飾ってあった。
今は笛太鼓等の囃子は廃れてしまっているが、昭和57年では太鼓を担いでいる大人が写っている。
案内して戴いた大竹さんは、この獅子巡りも何時まで出来るか? と・・怪訝そうな目で語って
くれた。
人口減少は確実に人々の営み、歴史の足跡を消し去ろうとしている。
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