秋田から出た古い小振りの獅子頭が仲間入りした。
鼻先中央の赤い剣の彫が謎なのだ。
ネット検索でも秋田や岩手、山形の庄内にも見られる特徴なのだが、何を意味しているか
まだ不明である。置賜の獅子でも多少見受けられ、権現の象徴の印ではないかと密かに考えている。
それと浮き出した様な眉毛は彫だした物でなく取り付けられたパーツである。
このスタイルも鶴岡六所神社の獅子頭で見られる形だ。その獅子頭の中にも前回仲間入りした獅子と
似ているものもある。
送られてきた時の状態は結構な破損状況で、両軸穴部側面が欠損し耳も紛失していたが修復できた。
耳の形は不明だがとりあえず、最初からこだわらず仮の形にして作り直そうと考えた。
黒い獅子は垂れ耳より立った耳が多い傾向に有る様だ。耳を差し込む取り付け穴が丸で無く四角と言
う事も有るので、立ったも耳の可能性が高い。
修復した部分の仕上げも経年劣化した感を出して、擦れた小さな傷を加えている。
目や歯の金箔の状態がくすんでいるので純度の低い金箔を使っている事等、詳しく時代考証等
勉強すれば、制作年月日が浮かんで来るかも知れない。
自宅の一階に事務所を新設したので飾って、眺めては獅子頭に語りかけている。
恐らく明治以前の作だろうと思う。彫痕もおおらかで素朴・・・しかしその形の中に
お国訛りや、作者の意思が潜んでいて簡単に語り返してはくれないのだ。
またそれも、いとおかし。
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