前回ご紹介の成就院から南に1kmもあろうか? 熊太郎作品リストにあった積善寺(しゃくぜんじ)
に訪れた。
室町時代、応永元年創建(1394)である。ニ度の火災を遭った大聖文殊菩薩が本堂に祀られてい
る。
火災の際、文殊様は獅子の背に座した形だが焼け残った像には獅子は消えていて翌年外堀の中から
発見された逸話が残っている。
寺は明治10年に二度目の焼失後再建された時、金子熊太郎と大河原亀五郎と2人合作で欄間の造作
を仕上げたのだ、と先代のご住職にご説明戴いた。
欄間彫刻は中央に、波に巨龍、両袖に獅子の着色された彫刻が一対飾られていた。
寺の欄間の取材は始めたばかりだが、この様な大迫力の彫刻は初めてである。
特に龍の眼光鋭さは際立っている。玉眼といって仏像にも用いる技法・・眼球をガラスで作り
内側から彩色し、血走った眼球の血管を描き出してリアリティーを醸している。
波の表現も素晴らしく、動き出しそうな龍の背景として荒々しく水飛沫を立体的に表現している。
百聞は一見にしかず、この熊太郎の彫刻欄間は必見である。
熊太郎の手掛けた作品の白鷹山口の安楽院、西高玉の瑞龍院、十王の称名院の彫刻に並ぶ
逸品だろう。
こちらの寺には、梨郷の渡部佐久次の作の小振りの獅子頭が伝わっていた。
現在のご住職が子どもの頃遊んだ獅子頭である。
この獅子頭の作風は見覚えがあった。不確定だが米沢成島八幡に宮内熊野神社風の獅子があるが、
垂れ耳で佐久字の耳とそっくりである。
文殊菩薩のお祭り8月19日20日には、現在も子どもの獅子が出て集落を回るそうだ。
また9月25日には寺の北にある住吉神社の祭で、文珠尊の獅子と同じ獅子が出る。
その獅子頭は平田寿蔵家に伝わる獅子頭を借りて獅子回しを行なうということである。
こちら集落での獅子回しの話は、小松の詳しいオジサンから聞いていないので、してやったり
のプチスクープである。
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