獅子頭を見て、すぐ上山市中山白鬚神社の獅子舞いと感じた。
動画まで送ってもらったし、以前から下調べして注目していた獅子頭である。
川西町犬川の龍蔵神社の獅子舞いは現在は佐藤耕雲の作の黒獅子タイプだが、それ以前は
一対の赤い獅子頭で行なっていた。恐らく追い獅子系の「獅子まわし」だろう。
その獅子頭と白鬚神社の獅子頭と似ているのだ。
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川西町犬川龍蔵神社の獅子頭
黒い髭がある獅子頭は珍しく、置賜では見ない様式である。内部に「高山正則」と記名があ
り、河北町の名工 高山文五郎の一門ではないかという説もあるが不明だ。
最近、西大塚に彫り師「金子熊太郎」の存在が明らかになり熊太郎の作の可能性も大いにあ
る。
その白鬚神社の獅子頭は大型で、子供ならば頭からスッポリ口の中に入ってしまう位大きい。
実際に泣きじゃくる子どもを口の中に押し込む様にする所作を行なう。
獅子に食べてもらい、口かの中から生還するという行為は「擬死再生」の意味も含まれている
のだろう。
話は前後するが・・知人のお葬式に参列した後、急いで着替え近道の山道の峠越えをし、
中山の国道に出た。
快晴の初秋は澄み切っているが、まだ汗ばむほどだ。
国道に入らず羽州街道を行くと中山集落に入る。すぐに幟が見えた。
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すると法螺貝の音が聞こえて来るではないか。
探す事も無く、祭渡行の集団を見つけ出した。鎧姿の武士数名と何故か武蔵坊弁慶がいる。
上り坂の街道の上に獅子舞集団が待機して気勢を上げている。何かが始まる兆候だ。
昔の戦の再現を彷彿される。
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白鬚神社は平成15年、長井市で開催された国民文化祭「獅子舞フェスティバル」に参加してもらっ
ている。その時の印象は獅子頭は巨大で、獅子幕も頑丈で長大なテント生地で作られ大勢の若者が
気勢を上げながら練り歩いた記憶がある。その獅子幕に見物人を乗せてトランポリンの様に
豪快に跳ね上げていた。
しかし獅子頭は同じだが、獅子幕はその当時の三分の一に縮まり幕も綿生地に変わっていた。
獅子舞いは上手から下ってきて丁度、お休み場に入る場面の駆け引きの瞬間に立ち合う事が出来た
様だ。三回ほど行ったり来たりしてお休み場に入り、休憩。
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子どもたちが食べられに来る
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その間に、街道を越えて直ぐの神社に行ってみた。
大抵、神社の留守番役が居て獅子舞いに詳しい古老が居たりするのだ。
獅子舞一行が帰ってくるまで、する事も無く暇を持て余している。
カメラを持って取材になど来る輩は珍しく、歓迎されて拝殿の記念撮影の写真を調査できる。
案の定その通りになった。
昭和54年の塗り替えは知り合いの業者だったり、昭和57年には獅子頭が東京のNHKに出向いて
番組に出演したようである。
長井市で開催の国民文化祭の写真も飾っていた。
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拝殿には子ども御神輿、使われ無くなった樽神輿、が目に入った。
言わずもがな少子化で子ども神輿は廃止されている。
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長老の話では白鬚神社の獅子は獅子舞ではなく、獅子担ぎなのだという・・・長井の黒獅子の
ような決まった所作の形は無いのだという。
しっかりとした記録は不明だが、獅子頭は200年前に作られた丈夫な獅子頭で、100年程前神
社が火災にあったが獅子頭は無事だったという。詳しい記録はその火事で紛失ということだ。
拝殿にある空の巨大な獅子箱が、間も無く戻って来るだろう宿主を待ち遠しそうに蓋を開けて
待っているようだ。
日没は早くなり、日が西に傾いてきた。お休み中の獅子を残して帰路につく。
最近、車のフロントガラスにぶつかる位うるさい程見かけた赤とんぼも、少なくなった様な気
がする。
サングラスをしているのに逆光の夕日が、いやに目に浸みた。
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