先週の土日、長井市成田の八幡神社の例祭が行われた。
当工房制作の新しい獅子頭で二代目である。
初渡行は何か起こる。
初代はなんと舌が大損した。
歴代の獅子頭も顎や舌、鼻先は修理を重ねている。
西に日が傾いたが、澄み切った秋晴れは最近では稀。
神社境内に訪れると、もう人集りである。御神酒二升を持参したので花場で奉納する。
知らない方に渡すとヨソヨソしくて失敗した気分になるのはしょうがない。
拝殿入り口に獅子振り達が待機している。
角力が登場し笛太鼓の開始を指示すると、ゆっくりしたテンポで宮の囃子が始まった。
仁王立ちの角力から、近寄り難い気迫が発している。カメラを持ってウロウロ近づこうものなら
大声で「あげろっ!」と一喝、速射砲をぶっぱなされそうである。
荒くましい獅子を制御する角力には、厳しい気迫と礼節の緩急が必要だ。
この角力、普段は温和な若者だが、獅子舞となると目付きが変わり体格も一回り大きく見えて来る。
昨年春、二代目の獅子頭を納め一年養生してのデビューだ。
平吹市之丞の獅子頭をモデルに制作した。
初代も同じ平吹獅子をモデルにしたはずだが、初代よりぐっと近づいた気がする。
獅子頭の重心バランスも良く、あまり口を開かなくても歯打ちの音が発するようだ。
実際に聞いてみると、獅子頭の内部に反響してか大きい。
さて、二代目の獅子頭は無事境内から出て、氏子回りを開始したのだが・・・・
翌朝、枕元の携帯が鳴った。
頭からの電話だった。
嫌な予感で胸騒ぎが血圧が上がるのが分かる。
昨日、あの後に軸を留める竹の栓が外れたのだそうだ。
破損でないのでホッとする。一安心だが、寿命を縮めるような電話だ。
神社に道具を持って駆けつけると、もう祭典委員や総代方は朝8時から2日目の例大祭の準備に
取りかかっていた。
獅子連幹部と総代長は拝殿で口を開けた獅子頭を囲んで算段中だった。
軸棒の竹栓の穴を一回り大きくして、太い栓を取り付けた。
また栓が抜けない様に紫外線硬化の接着剤でだめ押した。
翌朝ラインから獅子頭無事の連絡が来た。
祭の次の朝、獅子連が獅子頭を清めて破損チェックをするのだ。
こちらの神社は、こういったメンテもきちっと行なうので素晴らしい。
当たり前なのだが、当たり前の事が難しい。
例大祭では二代目の獅子頭と兄弟の獅子頭デビューもあった。
迎え獅子をするというので、時間に合わせ行ってみると既にそのお宅から通過して
しまっていた。兄弟の獅子頭再会のシーンを見逃してしまった。
好天で獅子舞いも捗っていたのだろう。
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