3.4m×7.3mの獅子幕を縫製を始めている。
本体は丈夫な綿生地で裾の一幅の部分を麻生地にした。
もともと、こちらの神社の獅子幕は全部麻の生地だったが、強度や予算の都合もあり綿生地
を主とした獅子幕を作る事になった。
染め上がった60cm幅の布地のパーツは8枚あり、麻の前幕部分のパーツが取り付けられる。
前幕は獅子頭を持つ獅子振りの視界を確保するため、透過性のある荒目で厚手の麻生地を選ぶ。
しかし最近、麻を取り扱う問屋や国内の生産者が激減し、中国からの輸入に依存していたが
そちらも価格高騰しているらしいと聞いている。
染め屋さん自体も県内にはもう数軒だし・・獅子幕の波模様を染める技法、糊を使っての筒描き
が出来る職人も消えつつあるのだ。
古来より続いている分野の技術や工芸、職人達が後継者無いままに消えていくのだ。
長年培ってきた技術力を後世に伝えないまま失っていく事は残念でならない。
さて自分の獅子幕の縫製の経験や技術力はまだまだ浅い。
思う様に行かない仕上がりに、挑戦を始めた訳なのだが・・そうそうある仕事でも無く
忘れた頃に持ち上がる仕事の為に経験を養う頻度が少ない。
まず取り付ける獅子頭の幕穴の周囲の長さを計り、プラス40cmぐらい長いロープを用意する。
直径は12mm位。
そして更に長さに10cm程余分に長くする。
輪にする為に三本に束になっているロープをほどいて結合する為だ。
輪にしたロープを幅20cmの布で縫製する。
それが、獅子頭の取り付け口となる。
次は獅子幕本体の8パーツを四苦八苦して縫い合わせる。
模様や記名などを上手ピッタリ合わせるのは至難の業だ。
染め屋で下書きする時に想定している縫い代分を読まないとズレてやり直ししなくてはならない。
一箇所を縫い、その端を広げてもう一度縫い合わせる。
幕は段々に巨大化していくので大変なのだ。
伸び方が違う綿と麻を縫い合わせるのも、大変・・・。
工業用のミシンでないと何枚も重ね合わせるとミシンの針が折れる事もある。
慣れないタフな縫製は、経験した事の無いようなストレスが溜るのが判る。
しかし、仕上がった時の達成感も格別なのである。
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