もう20年近く前に制作した巨大な鮎のモニュメントの記事を新聞で見かけた。
まだ健在で安心した。
最近、ネットからニュースが入ってくるので毎朝の新聞も開かなくなった傾向がある。
超ローカルニュース過ぎて遠ざかっていた地域記事欄なのだが・・・。
平成元年頃、清水町に自宅を建てて、一階をアトリエにして大きな立体造形の制作をしてい
た。
巨大鮎を造ったのは1995年 平成七年の冬だったような気がする。
立体造形から蕎麦店営業と獅子頭制作に移行する前の制作だった。
今考えると確か7mの巨大な鮎を一人で作るのは、かなり思い切った挑戦だった。
400mm厚の発泡スチロールブロックを組み立て削り原型を彫刻する。
それに厚紙をボンドで貼付けて表面をコーティングす。それにガラス繊維ニポリエステル樹脂
を含浸させて固めていく。
鮎は四つのパーツに分けて制作し、組み立て接着する。
仕上げてみるとアトリエがギュウギュウ詰めになった。
厚みもあり、背びれが天井に届く程で、鉄骨にチェーンブロックで吊り下げて塗装したのだが
全体が見えず苦労した。
巨大鮎を固定用の軸を挿入する筒を作らなければ無かった。そのため躯を弓なりにカーブさせ
なくてはならない。
まさに鮎の塩焼きの串刺し状態の姿である。
企画デザインの段階で、モニュメントの品位について依頼主と交渉したような記憶がある。
どうしても鮎の串刺し状態を連想してしまうデザインが採用され落胆した。
お客さんの意向が最優先なのだから、造り手は本意ではなくても、それに答えなくてはならな
い。
今考えると・・完成して、7・8mの鮎をアトリエから出す際、どうやって出したのだろうか?
大きさの割に軽いので数人で運び出したのだろうか? なんとかなる物だ。
トラックに積み込む時も、巨大な鮎が釣り上げられるというナカナカ見れない珍しいシーンだ
ったろう。
現場の取り付けがまた大変だった。
東五十川の沼澤鉄工所さんにお願いして難関に挑戦だ。
こういう大型の物の取り付けは、鳶の裁量が無いと出来ない。
コンクリートの角錐の台座の真ん中に、ステンレスの円柱が取り付けられ高さが10m以上に
もなる。
その先端から、クレーンで釣り上げて鮎のハラビレ辺りの穴に差し込むのだ。
正に鮎の串刺し・・・しかし、クレーンで恐る恐る挿入したが途中まで差し入れて
引っかかってしまった。
あの時、冬も開けたばかりで五月の連休前のオープンに間に合わせようとする忙しい時期だっ
た。設置場所は小高い丘の上の温泉施設で、晴れているが風が有った。
沼澤さんの指揮で四苦八苦して取り付け完了し、吊り上げ用金具の穴や継ぎ目の修正の為に
高所作業車に乗って修正した。
イヤイヤ高所恐怖症でも無いが、久しぶりに足がすくむ記憶が甦ってきてお尻の辺りがサワサ
ワする・・・・20年前の懐かしい制作である。
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