取材で上山に通ううちに、ちょっとだけ町並みに慣れてきた。
城下町なので小径が無数に残っていて、高低差もあり魅力ある町である。
図書館のある複合施設「カミン」の直ぐ南側に八幡神社が在る。
12月2日、芳賀宮司さんにお願いして神社に伝わる一対の獅子頭を総代立ち会いの上で拝見した。
大型の宇津権九郎系の雌獅子型の幕付きの獅子頭であった。
獅子頭には彫り込まれた記名が在り、箱や獅子幕にもしっかり記名の墨書が残されていた。
宮司さんと総代のお話では、例祭で獅子頭が出た記憶は無いし、今回の様に獅子頭を検分したり
詳しく見たのは初めてという。
獅子頭は幣殿の両脇に安置されていたが、獅子舞いは廃れていたので関心が薄れていたのだろう。
今回の調査で初めて獅子頭の制作年月日と奉納者、獅子頭の作者が判明した。
奉納された年は 大正十二年旧六月十五日
奉納は 上山二日町伊藤廣助の長女 東京神田 伊藤ウメ
彫り師は 仲町 佛師 高橋岩太 ・・・であった。
伊藤ウメさんが大部分奉納されたと思われるが、他にも多数名前が残されている。
獅子毛模様の緑の獅子幕を広げてみると、大きさから二人立ちの獅子舞のようだ。
六角の御神輿があり、例祭の神輿渡行の警固獅子と思われる。
太鼓や笛の囃しの楽器も残されてないが、拝殿にあった直径120cm程の大太鼓は
昔、町内の時の太鼓として用いられたという。
拝殿に大正時代に書かれた八幡神社の縁起が展示していたので分析している。
社務所にも大正から昭和初期の神社周辺の地図があり、獅子頭奉納当時の様子を忍ばせるものであ
る。
また、社務所に古い笈が置かれていた。当時の宮司が社殿が出来る前にこの笈に御神体を入れて
背負い、町内の氏子を巡り参拝を行なったのだという修験の名残である。
最後に、宮司さんから獅子頭情報をお聞きした。
上山駅前に黄金山神社、上山南部の中山との境の川口地区にある御嶽神社に獅子頭があり
宮司さんが兼務しているという。御嶽神社は以前、獅子頭を預かり幕を修理した事がある。
改めて調査する機会が巡ってきた。
この記事へのコメントはこちら