10月16日・・秋も益々深まった。
秋晴れの空に、籾殻を焼く青い煙がたなびいて香しい。
この臭いで更に一層、秋が深まり冬の準備の始まりの狼煙のようである。
午前中、小国町の舟渡に出掛け皇大神社の例大祭を知らせる幟旗を確認する。
神社には関係者は不在だった。
資料には舟渡に神楽の獅子頭があり、取材を御願いしていたが保管している方の都合によりキャンセ
ルになってしまった。
獅子頭が盗難に遭い昭和二年頃、五味沢の獅子彫り師に作らせた物だと言う。
ひょっとして記名が残されていないか気になる所である。
五味沢に借りていた資料を返して、舟渡に戻ると関係者方がもう幟旗を片付けていたが、
来年の4月15日に近い日曜日に例大祭をするので改めて取材するお願いが出来た。
長井に戻って、白鷹の西高玉稲荷神社に向かう。
境内には大勢の参拝者が獅子舞の出番を待っていた。
昨日の前夜祭には夜祭りの大きな獅子頭が渡行し、今日は長谷部吉之助の作を模して当工房が
平成19年に制作した獅子頭の出番だ。長谷部氏により勧進代と白兎と西高玉の三獅子頭が同
じ材料から彫りあげたという有名な伝説が残っている。
前夜祭の獅子頭は記名無く作者は不明だが、荒砥の十王の龍澤寺の養蚕神社の見事な彫刻は
長谷部吉之助、菅原鹿蔵、新海惣松の合作である事、西高玉の瑞龍院の彫刻も菅原鹿蔵と
師匠の作であることから菅原鹿蔵の作ではないかと考えている。
獅子頭木地
午後二時半頃、獅子舞が始まった。新調の際、獅子頭の金箔の仕上げを時代を経たような
仕上げにして欲しいという依頼があった。
眉毛や目、歯の金箔を幕で擦れて下地の黒が現れたような仕上げだったので凄みがある。
タテガミも少し擦れ短くなって貫禄が出てきている。
西高玉地区の川の上流にあった柳を伐採に立ち会って、木地を制作した思い出深い獅子頭であ
る。
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