10月9日白鷹町の鮎貝八幡宮のお祭りに訪れた。
昨年獅子頭を制作し納品したが、塗りの手直しをして今年のお祭りに間に合わせた。
新調した鮎貝の獅子頭を見るのは、今日が初めてである。
出獅子の時間等、何も考えずに来てみたが正に丁度の時間は神様が呼んだのだろう。
神事が始まり獅子冠り達を祓い清める。
総代から口取りに獅子頭が渡され、笛太鼓が奏でられ獅子舞が始まった。
自分が制作した獅子頭だが、既に別の世界の獅子頭に仕上がっている。
神社を背景にして荘厳な舞を、身内や子供が立派に演じている様で感無量である。
朱の獅子頭が暗いモノクロの色彩の神社を背景にして大いに映える。
舞の躍動で憤怒(ふんぬ)の表情が、純白のタテガミから垣間見れる。
眼のギアマンや緑のラインも効いている・・・。
大勢の参拝者が獅子の回りを囲んで、獅子頭の底を頭に近づける所作「頂かせ(いただか
せ)」をしてもらうため押し寄せた。
ご利益を得るためだろう・・お大般若の際、僧侶が経文を頭に沿わせる所作と重なる。
吾も吾もと熱気が伝わってきた。
大きな太鼓も境内に響き渡り、良い音である。
ふと、白い行衣を着た女性が目を惹く。長女の高校の同級生で、紅一点で笛太鼓で頑張っている
と聞いている。
数年前に見かけたのだが、今年も参加しているようだ。
余程、意志が強くないと男達と一緒に獅子舞いに参加は難しい・・その信念に尊敬である。
気がつくと太鼓台が、山伏が担ぐ長井系の笈(おい)の形とは違って折りたたみ型で実に
シンプルで持ち運びが容易である。移動は太い丸太を環に通し二人で担ぐ。
面白いもので階段を降り始めると、太鼓のトーンが変わる。
ドップラー効果だろうか?
獅子頭制作の機会を戴き、無事完成した喜びと安堵を感じながら帰路につく。
空には重苦しい雲が覆い、冷たい雨がフロントガラスに強く打ち付け始めた。
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