見知らぬ土地の名や、道や風景を覚えてくると世界が広がるように感じる。
米沢市の六郷に来た。
詳しいオジサンの資料によれば獅子頭の所蔵する寺社は多い。
米沢市では詳しく神社の調査を本にしているので、それをピックアップすると60頭以上に
なる。
ただし、お寺や廃寺の調査はないので知られることのない獅子頭は膨大だろう。
ましてや個人所蔵の獅子頭、盗難にあった獅子頭もさらに多いようだ。
六郷は轟(とどろき)桐原、長橋、西江股、一漆、西藤泉の地区からなり、神社の位置は
歩いて調べて確認するしか無い。
賽銭泥棒に間違えられない様に配慮して取材しないといけない。
小心者の自分は対策として、田圃や畑で作業中の地元の方に、カメラを持って撮影中と
アピールしている。
神社捜索は意外と容易だった。ナビは勿論だが目印は高い杉の木立を探せば出て来る。
六郷の寺社は6月末に例祭が多いので仕込みには気が抜けない。
例祭日には、幟と神社幕が目印になるので余計に目立つ様になるだろう。
稲は随分伸びて来て、水を張った田圃は緑の色濃く様変わりしている。
もうすぐ夏至・・一年の半分が過ぎようとしている。
面白い人と興味深い施設との出会いもあった。
偶然訪れた「置賜民俗資料館」である。
以前看板を見つけて気になっていた。
茅葺きの行屋らしき建物も有り、それに誘われて尋ねてみる事にした。
館長に案内されると中には、膨大な民具が展示されていた。獅子宿にはこの手の骨董が
多く民具には慣れているのだが・・・。寄贈された宇津権九郎型の獅子頭もみられた。
館長さんには事細やかに丁寧に対応していただき、話が館長さんに向けると実にユニークな
方だった。
この春、高校教諭を退職した方なのだが趣味は、雅楽の笙(しょう)を制作だという。
その他、ジャズピアノ奏者でもあったとか・・・。
ここは、もともと幼稚園だった施設でピアノがあったので、すっと館長さんはピアノに向い
演奏を始めたのである。
聴衆は私と数々の民具・・・嘘の様な素晴らしい響きが広がった。
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