亀岡の文珠へ獅子頭拝見に出掛けた。
東北芸術工科大学の仏像等の報告書資料に二点の獅子頭を見つけたのだ。
宝物殿の展示には獅子頭の他に獅子の彫刻やレリーフ、絵馬、掛け軸の絵画が多数あって驚
く。
亀岡文珠は獅子頭との関連は想像もしなかったのだが、御本尊が文殊菩薩で獅子頭に乗ったス
タイルで納得なのだ。
お釈迦様の涅槃図・・悲しむ神や仏や人間や動植物の表情表現が見事だ。
見事な細密、極彩色な曼荼羅の大作や古い仏像も数多く展示されている。
数多く廃寺が古い地図にも記されていて、その寺院にあった仏具や仏像が集まっているよう
だ。
仏像には以前から開眼していたが獅子頭に関連して、益々仏像の美しさに再開眼したのは最近
である。
特に荒ぶる神や童子、羅漢の仏像には神仏でありながら人間臭さや親しみを感じる。
獅子頭は二頭。
小品は見慣れない彩色・・後ろから見ると軸穴付近を厚くしている作り方は長井の彫り師の特
徴である。大きい方は珍しい張り子である。
簡単な型に和紙を張り粘土で厚みを付け乾かし和紙を張り、漆を塗って仕上げているので
はないか。木屑を混ぜた漆を塗って表面にブツブツの皮膚感を表現しているようだ。
耳が欠損し、損傷が激しく底が抜けている。
板に切れ込みを入れて曲げて上下の歯にして作っている。四国讃岐の張り子の獅子頭の
ようである。
僅かに獅子幕の端布が残っていて、珍しい細い竹ひごを挟む形で取り付けている。
獅子神楽の背中に用いられる白と桃色のボーダー柄模様と思われる。
最近では窪田の白山神社の古い獅子頭の獅子幕に見られた。
耳を結ぶ紐の取り付け方が気になる・・・何処かで見たやり方だ。
小品の獅子頭の内部には記名があった。獅子頭に記名を残すという考え方も、特徴の一つで
はないか。
亀岡近辺の蛭沢地区の「森谷 信◯」とあった。おそらく奉納者名だろう・・。
善行院に続き、亀岡文珠に獅子頭の痕跡を確認した。
この他、高畠町にはまだ数カ所の獅子頭の存在が情報を得ている。
善行院で拝見した資料に、亀岡から西にある露藤の白鬚神社に興味深い獅子頭の写真を見つけた。
何処かで見た様な形である。
元和田の高房神社も訪れて獅子頭の存在を確認した。神殿の彫刻が見事で川井の桃源院観音堂
の籠彫りという凝った彫刻に類似するので「庄内の匠 後藤政吉」の名前が浮かんで来る。
まだ見ぬ獅子頭も桃源院の獅子頭と比較してみたいものである。
こうして高畠に通う日々が続くと共に、季節は進んで良い塩梅にサクランボが色付いてきた。
獅子は大聖寺の本堂や護摩堂にも見られた。
お願いして拝見する。
時間を割いて案内して戴く方に申し訳ないので、バシバシと撮影をさせて戴いた。
本堂には涎が出そうな仏像や獅子、欄間の彫刻や絵画が醸し出す世界に満ちていた。
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