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レインボープランをモデルに資源循環型まちづくりを進める福岡県大木町を視察しました。
大木町の人口は約1万4千人で世帯数は約5千世帯、ちょうど長井市の中央地区と同じくらいです。平成18年から町内全世帯の生ごみ、し尿、浄化槽汚泥等の有機資源を回収して、「おおき循環センターくるるん」でメタン発酵させ、バイオガスと液肥を製造しています。ガスは施設内の熱源や発電に利用し、液肥(無料)は町内の農家や家庭菜園者が利用しています。大木町では良好な生ごみ分別のために、レインボープランと同じバケツコンテナ方式での回収を行っていますが、住民の協力状況は上々だそうです。 くるるんは町のほぼ中心部にあり、環境学習棟を併設して見学等にも対応しています。隣接するのは、「道の駅おおき」の農産物直売所とレストラン。地元の女性たちが経営するレストランは、地元食材を使った手作り料理がビュッフェ形式で食べられ、子ども連れの家族、若者やお年寄りのグループなどで大賑わいでした。付近にはオープンしたての交流・起業支援施設もあり、くるるんが暮らしに身近な町の中核施設として住民に親しまれている様子が印象的でした。 レインボープランとの出会いが循環型まちづくりの原動力だったと語る同町の関係者。長井市を何度も視察に訪れ、台所と農業をつなぐレインボープランの考え方と、5千世帯の生ごみ分別収集を実現している市民の姿に勇気づけられたそうです。 その同町は今や生ごみ資源化にとどまらず、「大木町もったいない宣言」を掲げて徹底した分別と資源化の仕組み作りを推進し、廃プラスチック(容器包装以外)の油化事業も開始しました。 着々と進化し続ける大木町に、今後は長井市が元気をもらう番かもしれません。 (写真左:大木町で生ごみ分別収集に使用している家庭用バケツと収集用コンテナ、写真右:「おおき循環センターくるるん」) (広報ながい 2019年12月1日号 虹の郷発希望行き 掲載) |
今回インタビューに答えてくださったのは、中央地区在住のY.A.さん(70代女性)。市内で小さな旅館を営んでいます。 Q:昭和30年代から営業しているとか? A:市内の高校を卒業後、今は亡き母と一緒に営業してきました。 昔は建設などの仕事で来市する方のご利用が多数でしたが、最近はスポーツ大会や観光でのご利用も増えています。 家庭的な料理と雰囲気でおもてなししています。 Q:長井はじめ置賜の食材、お客さんの反応は? A:「お米と水がおいしいね」とよく言われます。 行者菜やおかひじきといった野菜も、当地ならではの野菜です、と説明すると、殊更おいしく味わっていただけているようです。情報を伝えるって大切ですね。 レインボープランの研修に来られる方々もお泊めしますが、食べ物への関心が高まったと喜んでくださいます。 Q:レインボー野菜、どうですか? A:以前にレインボープラン市民市場「虹の駅」が独自の直売所を開いていた頃から、利用しています。 うめやのインショップでも購入します。 何といっても旬で新鮮、値段も安いですね。たまに地物でない特売の野菜を買うと、鮮度が悪く廃棄部分が多かったりしますから、それを考えれば新鮮な方が結局は安いと思います。 Q:生ごみ分別、どうですか? A:レインボープランの開始当初は、重い生ごみのバケツを収集所に持っていくのも、バケツを洗うのも大変で、「なぜこんな面倒なことを」と思いましたね。 でも今はもう慣れました。 最近は夫が出してくれますが、分別もバケツの手入れも私より上手なんですよ。 大変なのは夏場の保管で、虫が発生すること。みんなで知恵を出し合って何かもっといい方法を考えてはどうでしょうか。 (広報ながい 2019年11月1日号 虹の郷発希望行き 掲載) |
今回インタビューに答えてくださったのは、「中央会館」(栄町)の村田裕子さんです。 Q:結婚式場としても利用されていたそうですね。 A:昭和32年の創業以来、50年以上地元の方々と歩んできたお店です。 以前は100種類以上ものメニューがあり、お客様が当店でお食事したことを一種のステータスとして自慢してくださる店でした。 Q:レインボー野菜を使い始めたきっかけは? A:観光協会の女性部で「長井の自慢の弁当を作ろう」という企画がもちあがった際、長井といえば、「鯉」「行者菜」「ひょう干し」「レインボープラン」ということで、当店でも、「ながい「食の5つ星」弁当 〜あがっておごやえ〜」を作り始めたことがきっかけです。 地産地消の新鮮で安全安心な食材をお客さんに提供したいという思いもあって、レインボー野菜を使用するようになりました。 Q:レインボー野菜を使用したメニュー、お客さんの反応は? A:長井市に住む自分たちは当たり前だと思っている野菜の味も、県外の方からは「甘みが強くて美味しい」と評価していただいています。 レインボープランの勉強に来たというお客様も来店されますが、その皆さんの多くが、レインボープランのシステムを世界に誇れる素晴らしい取り組みだと言ってくださいますよ。 Q:飲食店のレインボー農産物の利用がすすむには? A:野菜の安定供給が望めないのが難点ですね。 以前、行者菜が冷凍保存しても美味しく食べられると聞いて驚きましたが、そのような保存方法の工夫を教えてくれると利用しやすくなると思います。 また、旬の時期には同じ野菜ばかりが出回るので、レインボーで珍しい野菜の栽培に取り組んでみてはどうでしょうか。 また、当店ではお客様に楽しんでもらおうと、きゅうりの料理にきゅうりの花を添えてお出しするような趣向をこらしていますが、農家さんだからこそ知っている花の美しさや野菜の魅力を伝える添え物・飾りなどをあわせて提供するのもいいと思います。 (広報ながい 2019年10月1日号 虹の郷発希望行き 掲載 ) |
今回インタビューに答えてくださったのは、「桃華楼支店」(中道)の中川一聖さんです。
Q:家庭的な中華料理店ですね。 A:親子二代、家族で経営しています。長井市特産の行者菜を使った餃子をはじめ、地元の食材を使ったメニューを豊富に提供しています。昭和44年の創業以来50年間変わらないメニューも今なお好評で、開店当時から通ってくださっているお客さんもいます。 Q:レインボー野菜を使い始めたきっかけは? A:レインボープランが始まった当初、生産者さんから認証野菜をメニューに使ってほしいという要請がありました。そこで麺類飲食店組合で、商品を作ろうと取り組んだのがきっかけです。その名も「レインボーラーメン」。レインボープランの推進につながるように、レインボー野菜をたくさんの人に食べていただきたいという思いで提供し続けてきました。 Q:「レインボーラーメン」、お客さんの反応は? A:レインボー野菜の認知度が高まるにつれて、「レインボーラーメン」を注文されるお客さんも増えています。特に野菜がおいしいと評判です。レインボー野菜を使っていることで皆さんに喜んでもらえます。 Q:飲食店のレインボー農産物の利用がすすむには? A:野菜が1年通して安定供給されてほしいですね。それと、野菜の種類がもっと多ければと思います。「レインボーラーメン」は人気メニューだけに、季節によって野菜の種類や数量が激減することに困っています。 Q:今後のレインボープランに望むことは? A:長井で育つ子どもたちにレインボープランの理念を伝えていくことが大切だと思っています。取り組みがもっと全国規模、世界規模で広がれば、市民の「食」や「環境」に対する意識が一層高まって、子どもたちにも伝わっていくのではないでしょうか。 (広報ながい 2019年9月1日号 虹の郷発希望行き 掲載) |
今回インタビューに答えてくださったのは、「フランス厨房 レストランジュアン」(館町南)店主の船山良平さんです。
Q:親子3代のお客さんもいらっしゃるとか? A:1984年に開店しました。当時、親御さんに連れられ来店したお子さんが、今は、自分のお子さんを連れ、じいちゃん、ばあちゃんも一緒に来てくださる。「ホッとする、安心する料理」と言っていただけるのは、地元で続けてきた店ならではと嬉しいですね。 Q:料理に地元野菜をふんだんに使っていますね? A:父がすぐ近くで自家菜園をやっていたので、開店当初からごく当たり前にそこでとれたきゅうりやじゃがいもなどを料理に使っていました。でも当時は、フランス料理独特の西洋野菜やハーブはこの辺では手に入らず、首都圏から高額な外国産を仕入れるしかなかった。地元でとれるものが一番うまいと思っていたので、それなら自分で作ろうと、まずハーブ類やベリー類を庭で育てはじめました。野菜はプロの農家にお願いするのが正解と思い、パプリカやリーキといった野菜を地元の農家に作ってもらうことに。聞いたことのない野菜に農家も最初は手探りで苦労の連続でしたが、私も畑におじゃまして野菜の特徴をお話したりして、いい野菜を作ってもらえるようになりました。 Q:そうして取り入れている野菜、お客さんの反応は? A:珍しい野菜の味や香りを覚えられて、しかもそれが地元産で、食の楽しみが増えた、と好評です。関東・関西方面からの観光客もお迎えしますが、レインボー野菜を含めこの土地でとれたものはとても喜んでくれます。 Q:飲食店のレインボー農産物の利用がすすむには? A:認証という特別感も大事ですが、例えば「庄内おばこサワラ」や「宇津沢かぼちゃ」のように、生産者や生産地区が限定されている「門外不出」のような品があると良いと思います。今や全国どこもがブランド化を目指していますから、特産品を育てようとするなら、農家だけでなく行政や私たち事業者も含め市内の横のつながりが一層大切になってきますね。 (広報ながい 2019年8月1日号 虹の郷発希望行き 掲載) |
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私は、長井市に住む私たちにとっての平成は、レインボープランとともに歩んだ循環型地域づくりの時代でもあったと思います。
振り返ればレインボープランは、平成元年に開催された長井市の将来を描く市民会議で、地域の自然と農と食をどう守るかを話し合う中から生まれてきた事業です。
市民と行政が協力して8年かけてコンポストセンターの稼働を実現し、大小様々なハードルを少しずつ乗り越えようと官民で挑戦し続けてきた30年でした。
平成は、循環型社会形成推進基本法が制定され社会全体が大量生産・消費・廃棄型から循環型への転換を推し進めた時代で、台所と農業をつなぐ循環をいち早く実現した長井市はその先駆者として、全国海外へ循環型地域づくりに取り組む勇気をお分けしてきました。
市外の方々から「よく20年以上も続いている」と驚かれますが、様々な課題がありながらもレインボープランを動かし続けているものは、市民の篤実さと豊かな地域を次世代へ渡したいという気持ちであり、長沼孝三さんが説かれた「長井の心」そのものだと思います。
平成に生まれレインボープランの歩みと時期を一にして育った市民の方々が、今後は地域を担う中核となっていきます。
時代が変わっても自然・土・食・命の大切さは変わりません。
レインボープランの「レインボー」には、過去から現在、現在から未来へかける虹の橋という意味も込められていますが、平成の大人たちが創ってきた食と農の循環の輪は、平成生まれ世代の目にはどのように映っているのでしょうか?
子どもや孫の寝顔に地域の健やかな未来を重ねながらレインボープランを育んできた私たちの思いを、しっかりとバトンタッチしてゆきたいものです。
レインボープラン推進協議会会長 若林和彦
(広報ながい 2020年1月1日号 虹の郷発希望行き 掲載)