『米坂線の今』小国駅の1 クマ駅長は何思う

  • 『米坂線の今』小国駅の1 クマ駅長は何思う

 小国駅は1935年(昭和10年)10月30日に開業。米坂線でも貴重なJR直営の有人駅である。赤屋根と白壁のコントラストが美しく2002年(平成14年) に旧長井駅や荒砥駅と共に「東北の駅百選」に選定されている。米屋こうじさんは「昔の役場のような風格ある建物が風景に良く似合っている。」と評している。(「鉄道ファイル」2008年)

 

 待合室に入ると、すべての窓にはカーテンが引かれていたが、隙間から事務室の灯りが見えた。運休となった今でも、職員が働いているのだろう。そんな気配を感じられただけでも嬉しかった。そして正面には「クマ駅長おぐたん」が鎮座している。最近でこそ「クマ」はとても迷惑な存在となっているが、小国町はマタギ文化を柱の一つにしながら、熊祭りなどをとおして地域活性化に取り組んでいたのである。

 

 クマ駅長の台座には町観光協会と小国駅長の名前があった。「駅からハイキング」などJRと地域の協同事業が行われていたが、「クマ駅長おぐたん」は駅と町の協働の歴史を伝えるもののような気がした。列車が止まっている今、クマ駅長は何を思うのだろうか。

2025.10.08:orada3:コメント(0):[停車場風景]

『米坂線の今』羽前松岡駅 除雪機とトイレのタオル

  • 『米坂線の今』羽前松岡駅 除雪機とトイレのタオル

 羽前松岡駅は1935年(昭和10年)10月30日に開業しているが、建物財産標には1936年(昭和11年)4月とあり、待合所は開業後半年を経て設置されたことになる。また駅名のローマ字表記が「Uzen」ではなく「Uzem」となっているのも面白い。

 

 駅舎は国道113号線から細道を入った所にあり、工事現場風な建物である。待合所にはイス3脚とシートが掛けられた除雪機があった。米屋こうじさんが17年前に撮られた写真には、松岡駅前には2メートルを超える程の積雪があった。除雪機は羽前沼沢駅にも保管されていたが、この区間の必須装備であったのだろう。

 

 待合所にはトイレもあった。旧式トイレだったが隅々まで掃除が行き届き、タオルもきちんと掛けられていた。駅を利用する人たちのために、朝早くから除雪機を操作し、トイレを掃除してくれたのは誰だったのだろう。かつて白兎駅で管理作業をしていたご夫婦が、汽車通学をしていた女生徒から感謝の言葉をいただいたという話を聞いたことがある。松岡駅にもそんな風景があったのだろうか。

 → 停車場ノート33 おじいちゃんありがとう:山形鉄道 おらだの会

2025.10.06:orada3:コメント(0):[停車場風景]

『米坂線の今』伊佐領駅  雪囲い板の隙間から

  • 『米坂線の今』伊佐領駅  雪囲い板の隙間から

 伊佐領駅は1935年(昭和10年)10月30日に開業。1975年(昭和50年)に駅員無配置駅となり、1993年(平成5年)12月に現在の駅舎が完成した。ログハウス風の建物に筆字の駅名板が付けられている。JRもこのような駅舎を建てるんだ、と感心してしまう程、見ごたえのある駅舎である。一度は訪問して欲しい駅である。

 

 ホームに出ると、「日本海美食旅」と書かれた柱状看板があった。新潟県と庄内地方の観光キャンペーンだったはずであるが、何故伊佐領駅にだけ残っているのだろう。さらに駅舎を回って行くと、雪囲い板の隙間から事務室が見えた。事務室の中には事務机があり電話や決裁板のようなものが見えた、さらにヤカンが置かれたストーブもあった。まるである日突然に、その場所から人が消えてしまったかの錯覚に襲われた。

 

 他の無人駅でもこのような事務室は配置されていたのだろうか。常駐ではなくとも、ここで働いていた人の姿が見えるようで妙にうれしく思えた。

 

2025.10.04:orada3:コメント(0):[停車場風景]

『米坂線の今』沼沢駅の2  駅ある風景

  • 『米坂線の今』沼沢駅の2  駅ある風景

 待合室には絵画も飾られていた。中学3年の女生徒の作品であり、「平成12年度子供県展入選作『駅ある風景』」とある。青い山々に囲まれた村の駅舎に、レールが此方と彼方をつなぎながら輝いている。

 

 彼女が描きたいと思った風景を確かめようと、ホームに出てみたが、ホームの高さと同じほどに草が生い茂っていた。輝いていたレールの姿は望むべくもなかった。これが今の「駅ある風景」なのである。

 

 彼女が通っていた中学校は2012年(平成24年)に統合され、廃校となっていた。今、彼女にとってふる里の風景はどこにあるのだろう。改めて駅舎のある風景の重みと温かさを思った。

 ※沼沢駅での思い出の記事はこちらからどうぞ

  → ああふる里、停車場そして友達:おらだの会

2025.10.02:orada3:コメント(0):[停車場風景]

長井線祭りは10月25日開催

  • 長井線祭りは10月25日開催
  • 長井線祭りは10月25日開催

 今年の長井線祭りは10月25日(土)に行われます。荒砥駅を主会場に10時から15時半までの開催時間です。10月25日は、1988年(昭和63年)に山形鉄道㈱が営業を開始した記念すべき日です。鉄路を残すために奔走した先人たちに思いを馳せながら、みんなで祭りを盛り上げていきましょう。

 

 成田駅では協賛事業として恒例の芋煮会等を次の内容で開催予定です。特に鉄道写真家・地域おこし協力隊員の米屋こうじさんの写真展『守る(Shu)』は、くれぐれもお見逃しのないようにおいで下さい。

  11:00 ~ 芋煮会

  11:15 ~ オカリナ演奏会

  12:00 ~ チビッ子集まれ、おもちゃをゲット

  10:00 ~ 15:30 米屋こうじ写真展(旧駅事務室内) 

2025.10.01:orada3:コメント(0):[イベント情報]