新花巻図書館漂流記(全8幕)~「風雪流れ旅」から「旅の終わりに」へ!!??

 

〈第1幕〉~新図書館「提言」

 

 「知の泉/豊かな時間(とき)/出会いの広場」―。いまから14年前の2012(平成24)年10月、こんなコンセプトをぎゅっと詰め込んだ提言書が「花巻図書館整備市民懇話会」(公募を含む15人)から発信された。新図書館へのゴーサインである。翌年5月、当時の大石満雄市長はこの提言を受け、旧厚生病院跡地(御田屋町)に子どもを対象にした「こどもの城」を併設した新図書館の立地を正式に表明し、議会側も承認した。

 

 

〈第2幕〉~首長交代

 

 「中心市街地に隣接するこの場所こそが新図書館にふさわしい」―。こんな市民の願いはしかし、わずか1年足らずで打ち砕かれた。2014(平成26)年2月に行われた市長選で上田東一市長が初当選を果たし、首長の交代劇が起きたのである。その直後、今度は跡地からヒ素などの土壌汚染が発覚。「こどもが集まる場所としてはリスクが大きすぎる」という声が市長周辺からもれ始めた。就任2年後の2016(平成28)年6月、新たに策定された「立地適正化計画」の中で「旧厚生病院跡地」案は正式に撤回され、新たな立地場所は花巻病院跡地を含む「まなび学園」周辺へと変更された。

 

 

〈第3幕〉~大風呂敷

 

 「花巻中心部の活性化へ、複合的機能の展開により、移転地において年間『80万人』の交流地をめざします」―。6年前の2020(令和2)年3月、こんな夢のようなグランドデザインを掲げ、本来なら新図書館がとっくにオープンしていたはずの旧厚生病院跡地に総合花巻病院が移転・新築した。上田市政の「成功」第1号と言われたが、「80万人」構想という大風呂敷はどこかに消え去り、いま通りには閑古鳥(かんこどり)が泣いている。それだけではない。行政主導型と言われたこの“上田案件”はその後、経営不振に見舞われ、5億円の財政支援を余儀なくされるに至った経緯は記憶に新しい。

 

 

〈第4幕〉~突然変異種

 

 さて、風雪流れ旅はこれからが本番を迎える。立地適正化計画の中で新たに位置づけられた新図書館の立地予定地―「旧花巻病院跡地(学び学園周辺)」は2024(令和6)年3月、土壌汚染を除去した上で、約3億2千万円で市側に譲渡され、正式に「市有地」に編入された。今度こそ、中心市街地に直結する新図書館のオープンかと思いきや…。

 

 立地適正化計画の策定から1年もたたない2017(平成28)年8月、今度はその立地候補地を「病院跡地」から複数個所に広げる「図書館整備基本構想」が策定された。その背後から突然、姿を見せたのが「駅前立地」という似て非なる“突然変異種”の出現だった。2020(令和2)年1月29日に突然公表された、いわゆる“上田私案”と呼ばれる「住宅付き図書館」の駅前立地である。図書館をめぐるJR側との接点が初めて、公(おおやけ)にされた瞬間だった。市民参画もへったくれもない、まさに青天の霹靂(へきれき)…“立地”論争の泥沼化はここから始まった。

 

 

第5幕〉~説明責任

 

 「市長と議会が今、なぜここ(駅前)なのか、どういうプロセスを経てここなのか。やはり市民の前に出て、自分の言葉で説明していただきたいと思います。そして、その市民の理解を得ていただくということを前提条件として私は決議したいと思います」(会議録から、要旨)―。2025(令和7)年5月19日、新図書館の「駅前立地」を正式に決定した教育委員会議で、役重真喜子委員はこう釘を刺した。この問いかけに対する応答がないまま、上田前市長は退任した。“敵前逃亡”と揶揄(やゆ)される所以(ゆえん)である。

 

 「なぜ、駅前なのか。なぜ、病院跡地から駅前に変わったのか」という疑念はいや増すばかりである。この際、逆の設問の方が論点をはっきりさせると思う。「ヒ素”汚染”もなく、すでに市有地化された広大な土地がなぜ、立地の適地とされなかったのか」と。

 

 

〈第6幕〉~既成事実化

 

 

 「病院跡地」から「JR花巻駅前」へ―。 “上田私案”から現在の単体図書館に至るまでの経緯についてはこれまで縷々(るる)述べてきたので、繰り返さない。ここで指摘したいのは行政の「継続性」をタテにした「小原(勝)」新体制に対する露骨な行政介入についてである。

 

 「新しい図書館を一緒に創っていく人募集」―。小原新市長が就任する前の1月30日付で、市HP上にこんな告知が掲載された。2月21日に開催予定のWS(ワークショップ)への参加呼びかけで、募集対象は新図書館の駅前立地に“お墨付き”を与えることに貢献した「試案検討会議」や「市民会議」、駅前大通りの住民らの約50人とされ、うち公募枠はわずか10人程度。さらに「病院跡地か駅前か」―。立地判断の際に中立・公正の立場から登用されたはずの同じファシリテータ―がふたたび、“行司役”を演じるという茶番が繰り返されようとしている。“駅前図書館”の既成事実化がミエミエではないか。そもそも、対象者を「駅前」に限定すること自体が眉唾ものである。

 

 

〈第7幕〉~負の墓標

 

 既述のように、厚生病院と花巻病院という二つの「跡地」を経由して、終着のJR花巻駅前にたどり着くまでの道筋は依然として、ナゾのままである。3代の首長にまたがるこの漂流記にはそろそろ、終止符を打たなければなるまい。さらに、上田市政の「失政」第1号とも言われる新興製作所と旧料亭まん福の「跡地」問題もまだ、積み残しになったままである。「(まん福については)その利用価値も考えないで購入した前市政に対し、一時は損害賠償請求さえ考えた」―。前市政(上田)は前々市政(大石)にこんな捨て台詞を残し、忍者のごとくにドロンしてしまった。では、新興跡地を荒れるに任せたまま放置した、その責任はいづこに。

 

 

〈第8幕〉~「風雪流れ旅」から「旅の終わりに」へ

 

 旧厚生病院跡地→旧花巻病院跡地→花巻駅前のJR所有地。「新花巻図書館漂流記」の背後には一体、何があったのか。“呪われた図書館”という禍根を残さないためにも新しい行政トップにはその説明責任が負わされている。「風雪流れ旅」(北島三郎)から「旅の終わりに」(冠二郎)へと…。今度こそ、羅針盤の方位を間違えないように。

 

 

 

 

 

 

(写真は新図書館のあり方を話し合うWSのチラシ)

 

 

 

 

★オンライン署名のお願い★

 

 

 「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。「病院跡地」への立地を求める市民運動グループは七夕の(昨年)7月7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」とこう呼びかけている。

 

 「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。

 

 私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振って署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 

 

●オンライン署名の入り口は以下から

 

https://chng.it/khxdhyqLNS

 

 

●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ

・署名実行委員会ホームページ「新花巻図書館を宮沢賢治ゆかりの病院跡地に!]

https://hanamakibiblio.jimdosite.com/

 

・ヒカリノミチ通信(増子義久)  https://samidare.jp/masuko/

 

・おいものブログ~カテゴリー「夢の新花巻図書館を目指して」   https://oimonosenaka.seesaa.net/ 

 

 

 

 

 

 

 

 

2026.02.12:masuko:[ヒカリノミチ通信について]