数字が物語る「上田失政」の計量的な分析…隣市・北上との差が歴然!!??

  • 数字が物語る「上田失政」の計量的な分析…隣市・北上との差が歴然!!??

 

 「東芝(現キオクシア)などの企業進出で北上市は、工業都市としての発展がほぼ約束されたと思う。しかし、せっかく文学的な風土があるにもかかわらず、その象徴になるものがない。“工業砂漠”だけにはしたくない」(昭和59年1月25日付「岩手日報」)―。当時、北上市長だった斎藤五郎さん(故人)が40年以上も前に語ったこの言葉が最近、つとに脳裏によみがえる。迷走を続ける新花巻図書館問題との気の遠くなるような乖離がその要因である。

 

 詩歌に特化した全国唯一の図書館である「日本現代詩歌文学館」は斎藤市長のこんな熱い思いが実って、平成2(1990)年5月20日、市制施行30周年事業として正式にオ-プンした。4年後には黒沢尻工業高校の移転に伴い、その跡地に自然美豊かな「詩歌の森公園」が誕生した。10数年の歳月と総工費約26億円をかけた大事業だった。「駅前か病院跡地か」―ある種、不毛な立地論争に揺れる上田市政と「工業砂漠」に文化の拠点を築き上げた斎藤市政。「哲学不在の行政は行政にあらず」…ふと、隣り合わせの行政の実態を数字を使って、読み解いてみたいと思った。

 

 私の手元に「岩手県市町村民経済計算年報」(令和6年5月、県ふるさと振興部)という統計資料がある。自治体ごとの総生産量や所得分配、人口動態などの指標をまとめたもので、期間は平成23年度から令和3年度までの10年間。そのうち、上田東一市長が初当選した平成26(2014)年の以降8年間の統計を比較してみた。「数字はウソをつかない」―。目をショボショボさせながらにらめっこするうちに、その目が点になった。花巻・北上両市の指標の比較は―

 

▼385,000円(令和3年度時点の所得格差)~市民一人当たりの年間所得額は当市が総額で2、519千円、北上市が2,904千円。ちなみに、上田市長の就任時に比べても80千円少なくなっている。また、この8年間、所得額が北上市を上回ったことは一度もない。

 

▼14・4(令和3年度時点の所得指数の比較)~県平均の指数を100として、当市が94,北上市が108・4。当市が100を上回ったことは一度もないのに対し、北上市は常時上回った指数を維持している。

 

▼990人(令和3年時点の人口動態比)~令和2年度までは当市が人口比で北上市を上回っていたが、令和3年度は北上市が93,249人となり、当市の92,259人を逆転、県内の第4位へ。その後も当市の人口は減り続け、市長就任時に98,456人を数えた人口は令和6年12月31日現在で89,656人と8,800人もの激減。上田市政下ではざっと、年間千人弱の減り幅になっている。

 

▼1、155人(令和4年時点での人口の自然減)~一方、県保健福祉年報(人口動態編)によると、出生数から死亡数を引いた人口の「自然減」は北上市が633人だったのに対し、当市は2倍近い1,155人。さらに令和4年時点の当市の死亡者数は1,609人で、北上市の1,133人に比べて476人も多かった。不気味な数値である。急激な人口減の背景にはこうした自然減が大きく作用しているのは明らかだが、周産期医療に対する多額な財政支援や総合花巻病院に対する巨額な赤字補てんなどが人口減に歯止めをかけるに至っていないことも逆に裏付けている。

 

 

▲9,060,330,000円(令和5年度の当市のふるさと納税の寄付額)

 

 上田市政は財政健全化の証として、事あるごとに「ふるさと納税」(イーハトーブ花巻応援寄付金)の好調さを挙げてきた。そして、令和5年度には全国市町村(1,735団体)の中で堂々の第13位にのし上がった。上田市長が留飲を下げたくなる気持ちは分からなくもないが、この巨額な寄付金は一体、どこへ。移住定住や子育て世代への支援を手厚くしているという割には人口減少への歯止め効果は見られず、市民生活の向上にはほとんど資していないということを上記の数値は如実に物語っている。

 

  いまは亡き斎藤・元北上市長が詩歌文学館の計画を議員全員協議会に提案した際、議場は割れるような拍手に包まれ、「市長、やり遂げろよ」という檄(げき)が飛び交ったという。新花巻図書館の立地場所を最終的に決める市議会3月定例会は2月26日に開会する。市民は固唾(かたず)を飲んで、その成り行きを見守っている。

 

 

 

 

(写真は県平均との所得格差を示す花巻・北上両市の棒グラフ)

 

 


《追記》~豪華絢爛にして百花繚乱!?

 

 「市民の暮らしを守る/多彩な支援策で/安心のまちづくり」―を旗印に掲げた令和7年度一般会計当初予算(案)が公表された。総額581億7,862万円で、前年度比5・5%の増。重点施策として「子ども・子育て応援プロジェクト」(88億3,152万円)と「花巻で暮らそうプロジェクト」(24億8,601万円)の実現を掲げ、人口減対策に重点を置いた内容になっている。大盤振る舞いは良しとするが、その実効性のほどは…。上記ブログのもうひとつの「数字」を重ね合わせると、ため息も。詳しくは以下から。

 

令和7年度一般会計予算等について_説明資料 (PDF 2.9MB)新しいウィンドウで開きます

 

 

 

2025.02.18:masuko:[ヒカリノミチ通信について]

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