旧新興跡地を“失政”遺構へ…「ダークツーリズム」観光としての利活用を目指して~あるいは“伝家の宝刀”、住民投票の行使か!!??

  • 旧新興跡地を“失政”遺構へ…「ダークツーリズム」観光としての利活用を目指して~あるいは“伝家の宝刀”、住民投票の行使か!!??

 

 「莫大なコストが見込まれるうえ、具体的な活用計画のない土地を取得することは現時点では困難である」―。10数年来の懸案である旧新興製作所跡地(花巻城址)の扱いについて、花巻市は将来に若干の含みを持たせつつも取得断念に大きく舵を切り、その理由を11日付のHPで明らかにした。当該敷地(約3・5㌶)内に放置されたままになっている瓦礫(がれき)や基礎杭、解体途中の構造物などの撤去費用として、ざっと17億円の費用が見込まれるというのが主な理由。最悪の場合は所有者のいない「無主地」になり、永遠に“塩漬け”状態になる可能性も出てきた。

 

 この問題は上田東一市長が初当選した10年前にさかのぼる。当該跡地は法律(「公有地の拡大の推進に関する法律」)によって、地元自治体に優先取得権が与えられていたが、上田市長は今回と同じ理由で取得を断念した。当時の譲渡価格はわずか100万円。「まちのど真ん中の一等地。まず所有権を市側に移し、今後の利活用については広く市民の意見を募るべきではないか」という声にも耳を貸さなかった。その後の経過は土地を取得した不動産会社が各種の金銭トラブルを起こし、令和4年4月には破産手続きの開始へ。現在は破産管財人の管理下にあるが、管財人が手を引けば万事休すということなる。そこで“市民目線”の立場からの提案を試みたい。「市民に情報を提供し、市民の意見を聞きます」(四つの基本姿勢)―初当選時の初心にぜひ、立ち返ってほしいと思う。

 

 

<提案―1>~思い切って、「ダークツーリズム」観光への方向転換

 

 

 当該跡地は過去2回、強制競売にかけられた。裁判所が提示した売却基準価格は約1億1600万円だったが、応札者はゼロ。その後、その価格は4,731万円(買受可能価格は3,786円)まで大幅に引き下げられたが、それでも応札者がいなかったため、競売そのものが取り消しになっている。このように今後も土地取得者が現れる可能性は極めて低いとみられる。この際、行政執行の“失敗例”として、現状をそのまま保存し「ダークツーリズム」のひとつとして、再利用することを提案したい。

 

 

 このツーリズムは「人類の悲しみの記憶をめぐる旅」とも言われ、新しい“観光形態”として、最近注目を集めている。日本では東日本大震災跡地や原爆ドームを含む広島平和記念資料館、ひめゆり平和記念館などがリストアップされている。趣きは若干違うかもしれないが、「過去の失敗」に学ぶという姿勢は為政者にとっては欠かせない資質である。城跡が瓦礫の荒野と化しているのは全国広しといえども、当市だけ。お城ファンは足を運ぶにちがいない。ちなみに、原爆死没者慰霊碑には「…過ちは繰返しませぬから」という碑文が刻まれている。

 

 

<提案―2>~“伝家の宝刀”……住民投票へ向けて

 

 

 「市長は、市政に係る重要事項について、住民の意思を市政に反映するため、住民投票を実施することができます」(第24条)。「市長は、自ら住民投票を実施することができます」(第25条)―花巻市まちづくり基本条例(平成20年3月制定)は市長自らの権限として、住民投票を行使できると定めている。いまこそ、この“伝家の宝刀”の出番ではないのか。「利活用がはっきりしない」というのなら尚更のこと、納税者である市民の声に謙虚に耳を傾けるべきではないかと思う。

 

 東北新幹線の新花巻駅はいまから約40年前の昭和60年3月に開業した。駅前に立つ石碑にこんな言葉が刻まれている。「総額41億8千万円、中村知事の英断で県が3分の1を負担することに決定。県、市、隣接市町村の協力の他、花巻市民各位、各種団体から併せて1万4千9百余人、11億8千5百万円余の寄付により出来上がりました」―。そこに住む市民にとって必要なものなら、血税を惜しみなく差し出す“市民力”を私たち花巻市民は持っているはずである。

 

 「旧新興跡地を市民の手に!!あきらめるのはまだ早い」―。こんなスローガンを掲げた市民総決起大会が開かれたのは9年前の2015(平成27)年1月12日のことだった。

 

 

 

<提案ー3>~上田版「ダークツーリズム」関連マップ

 

 

 まず、上掲写真の光景のコントラストを目に焼き付け、次の道順で散策していただきたい。いずれも、上田市長の肝いりのプロジェクトである。

 

①総合花巻病院(最近、5億円にのぼる巨額の財政支援が明るみに出て、その経営内容に不安が。そもそもの移転・新築計画に疑念の声も)

②総合花巻病院跡地(新花巻図書館の建設候補地として、駅前立地との間で激しい論争。強行突破の裏には利権の影が)

③旧料亭「まん福」跡地(いまは「花巻中央広場」ヒルズエリアと名前を変え、だだっ広い更地に。隣接する中央広場とともに無用の長物との批判も)

④災害公営住宅(併設するコンビニの光熱費を「3・11」被災者に肩代わりさせていることが明るみに。上田市政に批判が殺到)

⑤JR花巻駅(駅橋上化により、賢治ファンタジ―を漂わせていた駅舎や周辺の景観が一変することに。図書館の駅前立地との「ワンセット」論にJR主導論が浮上)

 

 

 

 

 

(写真は桜花爛漫と廃墟の図。この上に旧花巻城跡の通称「旧東公園」と呼ばれた上部平坦地が広がっている=4月13日午後1時すぎ、花巻市御田屋町で

 

 

 

2024.04.12:masuko:[ヒカリノミチ通信について]

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