「フェンネル」

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ウイキョウ(茴香[5]学名Foeniculum vulgare)は、セリ科ウイキョウ属に分類される、多年生草本植物である。ウイキョウ属唯一の種で、英語名からフェンネルとも呼ばれている[6]。伝統的なハーブの一つとしても知られ、甘みのある香りと樟脳のような風味があり、古くから香辛料薬草などとして用いられ、栽培も行われてきた。果実もフェンネル・シーズ(フェンネルシード)とよばれるスパイスとして利用される。主に、葉はビネガーに漬けたり、煮込みや魚の香草焼きに使われたりする。種子はパン生地に使われる[7]。肥大した株元は、サラダスープにして食べる[7]

名称

中国植物名は茴香(ういきょう、ハイシヤン[8]、ホエイシャン[9])と書き[10]、その由来は、腐った魚に使うと香りが回復するから名づけられたといわれる[9]。和名ウイキョウ(茴香)の語源は、日本に伝わったときに「茴」を唐音で「ウイ」、「香」を漢音で「キョウ」と読んで名付けられたのだとする説が存在する[8]。別名として、ダイウイキョウ(大茴香)と呼ぶ場合のあるスターアニス(トウシキミ)に対して、ショウウイキョウ(小茴香)と呼ぶ場合もある[10][11][12]

また、英語名のフェンネル (Fennel) の名でも知られ[8][10]フェネルとも読まれる[9]フランス名からフヌイユ (fenouil)、イタリア名でフィノッキオ (Finocchio) とも呼ばれる[12]

属名 Foeniculum は、「小さな干し草」を意味するラテン語に由来し、中世ヨーロッパでは fanculum と呼ばれ、その後に Fenkel や Finule の名で広まっていった[6]種小名の vulgare は、ラテン語で「普通の」という意味である。古代ギリシャ名ではマラトン (mararthon[注 1]と呼ばれており、「細くなる」という意味の maraion に由来する[13]

分布・産地

ヨーロッパ原産[10][14]、もしくは地中海沿岸が原産とされる[8][12]インドアジアオーストラリア南北アメリカの各大陸に広く分布し、北アメリカでは野生化している[6]。セリ科の植物としては珍しく、海岸近くや川の土手の乾いた土壌でよく生育する[6]

古代エジプト古代ローマでも栽培されていた記録が残っており、ヒトが特に古くから栽培してきた植物の1つとされる。その後は世界各地で栽培されており、現代においてはエジプトだけではなく、シリア、インド、イギリスドイツイタリアフランスハンガリーレバノンブルガリア、北アメリカ、中国なども主産地として挙げられる[9]日本には平安時代に中国から渡来した。なお、21世紀初頭の日本における主産地は長野県鳥取県である[14]

形態・生態

外見はイノンド(ディル)に非常によく似ているが[9]、ウイキョウは耐寒性の多年草である[8][14][15]。草丈は1メートル (m) から2 m程度に達し[14][16]、左右には45センチメートル (cm) ほど広がる[15]は密生して全体が枝分かれし、円柱状の中空で成長すると筋が立つようになる[15]は次第に分かれて葉片が糸状に細くなった2 - 3回羽状複葉で、全体の長さは40 cm以上になり、全草が鮮やかな黄緑色をしている[8][17][6]葉柄の根元部分は鞘状になっている[8]

花期は夏(7 - 8月)で[14]頭花は茎頂に小花柄と呼ばれる単一茎から伸びる、20 - 50の黄色い小花からなる複散形花序を形成し、傘形に多数咲かせる[8][13]。複散形花序は総苞を欠き、大型で、15 - 20の小散からなる[17]。花にはかすかにアニスのような芳香がある[15]花弁は黄色で内側に曲がる[17]

秋には7 - 10ミリメートル (mm) 程度の長楕円形をした麦粒状の緑がかった茶褐色の果実をつける[8][12]。黒褐色と淡色のくっきりした筋がついているところに特徴があり、表面が平らなものや膨らんだものがある[12]。分果は分離しやすく、わずかに湾曲した長楕円形である[17]

2025.11.22:masato0525:[コンテンツ]

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